日本の平均寿命は80歳を超え、いまや100歳まで生きることを考える必要が出てきました。皆さんは80歳、90歳の生活を想像できるでしょうか。

どう生きるかを考えるとき、気になるのはお金のこと。特に老後生活では、生活費の多くを年金に頼る場合がほとんどです。その年金は、実は増やすことが可能だということをご存じでしょうか。

ポイントは、「複数の年金制度の活用」「支払い年齢の延長」「繰り下げ受給」の3つです。

複数の年金制度を活用して受給額を増やす

基本的に、皆さんは国民年金に加入していますよね。会社員の人などであれば、厚生年金にも加入しているでしょう。

しかし、年金制度はそれだけではありません。任意加入の年金制度を活用するなどして、受給額を増やすことができるのです。

国民年金のみに加入している人(国民年金第1号被保険者)の場合

自営業などで、国民年金のみに加入している場合、受給できる老齢基礎年金は最大でも77.9万円(2018年現在)です。この金額は、自営業には定年退職がなく、ずっと収入を得られるという考えからですが、これだけだと病気などで働けなくなったときの不安が残ります。

そこで年金を増やす制度として、付加年金・国民年金基金・小規模企業共済があります。

「付加年金」は、月額400円の付加保険料を、国民年金保険料にプラスして支払うことができる制度です。将来の年金に「200円×付加保険料納付月数」が年額にプラスされます。受給開始2年で元が取れる計算です。

「国民年金基金」では、毎月支払う金額(掛金)や受け取り方が選択できます。また、掛金は全額所得控除の対象ですので、節税対策としても有効です。

付加年金と国民年金基金は同時加入ができません。支払う・受け取る上で、どの制度が自分に合っているかはよく検討しましょう。

「小規模企業共済」は、主に中小企業の経営者が利用できます。毎月1,000円から自由に掛金が設定でき、こちらも全額所得控除の対象です。国民年金基金と違う点として、死亡・老齢給付・廃業など受け取り事由によって金額が変わること、掛金の範囲内で低金利の貸し付けが利用できることが挙げられます。

どの制度も過去をさかのぼって支払うことはできないため、なるべく早くスタートするのがおすすめです。

ほぼすべての人が使えるiDeCo

最近よく聞く「iDeCo(個人型確定拠出年金)」も年金制度の一つです。加入できる対象が拡大し、今は多くの方が加入できるようになりました。

掛金の運用先を自身で選べることが最大の特徴で、掛金は全額所得控除できます。会社員の年金を増やす+節税の手段としては、大きな効果が期待できるでしょう。付加年金・国民年金基金との併用の際は、すべてを合わせた金額が掛金の上限となります。