貯める&備える
2020/05/13

個人年金保険を「外貨建て」で契約する意味って何?

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)
40代ともなれば老後はそう遠くなく、「公的年金だけでは老後が心配」と不安に思う方は多いでしょう。老後資金は、働いているうちに考えておきたいものです。

将来に備えた貯蓄や資産運用のとして、「外貨建ての個人年金保険」という選択肢があります。円の商品と比べて金利が高いのがメリットですが、為替リスクなど注意したい点もあります。

老後に備える個人年金保険とはどんなものか?

個人年金保険は、60歳や65歳など契約時に定めた年齢から、5年、10年などの一定期間に毎年一定額の年金が受け取ることができる、公的年金の不足を補う商品です。

保険料は毎月もしくは毎年支払うのが一般的ですが、保険料を一括で支払う「一時払い商品」もあります。保険会社によっては保険料の支払いを途中で中止できる商品もありので、ライフプランの変更に対応することもできます。
個人年金保険のメリットは税金が安くなること
保険料を支払っている間は「生命保険料控除」が適用されるので、税金(所得税と住民税)が安くなるのがメリットです。

また、年金受取時の税金も優遇されています。例えば、40歳から60歳まで毎月2万円支払って(総支払額480万円)、60歳から年間50万円を10年間受け取る場合、50万円-{(50万円×480万円÷(50万円×10年)}=2万円(雑所得)に対して課税されるので、税金が少額になります。

死亡保障がないことも特徴

保険会社は、契約者から受け取った保険料から契約管理にかかる費用や保険金の支払いを引いた残りを運用しています。個人年金保険は運用利回りを良くするために、通常の生命保険と違って死亡保障がないことも特徴です。(ただし被保険者が死亡した場合は、支払った保険料相当額が「死亡給付金」として支払われます)

保障が不要という方には、コツコツと将来に向かって積み立てができるという点では優れていますが、途中で解約すると元本割れになる(支払った保険料よりも戻ってくる金額が少ない)ことがデメリットです。無理をせず、継続できる保険料で加入しましょう。

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「外貨建ての個人年金保険」ってどういうもの?
保険料の支払い、年金の受け取りを外貨で行うものを「外貨建て保険」と言います。保険会社は、契約者から預かった保険料を海外の債券などで運用し、保険料に運用益を加えたものを保険金や給付金の原資としています。

外貨で保険料を支払ったり保険金などを受け取ったりするなら、外貨預金口座を作って外貨を持たなければなりませんが、円で生活する日本人にとっては、なかなかハードルが高いですよね。

そこで、契約者は円で保険料を支払い、保険会社のほうで外貨に交換してもらうことで、外貨預金口座がなくても加入できるようになっています。

保険金などを受け取る際は、外貨を円に交換して受け取ることもできます。途中で解約した時の解約返戻金も同様です。

外貨建て個人年金のメリット・デメリット

外貨建て保険の仕組みは、ご理解いただけましたか?では、外貨建て個人年金のメリット・デメリットについて見ていきましょう。

メリット
  • 金利が高い
  • 保険会社所定の「最低保証積立利率」がある
  • 「為替差益」で高リターンが期待できる
  • 「分散投資」ができる
保険会社が契約者に約束する運用利回りのことを「予定利率」と言いますが、予定利率が高ければ、預け入れた積立金は効率良く増えていきます。円建ての個人年金保険の予定利率は1%以下ですが、外貨建て商品(主にアメリカドル、オーストラリアドル)は2~3%と高金利で魅力があります。

また、基本的に予定利率は保険会社が定めた「最低保証積立利率」が設けられているので、市場の金利がどんなに低くなっても、安心です。

さらに、外貨を円に交換する時のレートによっては「為替差益」が発生する可能性もあり、運用効率は高まります。例えば年金の受取額が1万ドルの場合、為替レートが1ドル=100円なら100万円ですが、1ドル=110円なら110万円となり、為替によって10%も受け取る額が増えるのです(税金や手数料は考慮しない)。

「保険は途中で解約すると損」と思われがちですが、積立利率や為替によっては途中で解約してもプラスになることがあります。

外貨建て保険のメリットは、収益面だけではありません。外貨や保険を通して海外の債券に投資することで分散投資効果が得られ、インフレ(物価上昇)リスクやカントリーリスク(日本が破綻したら……)に備えて資産を守ることもできます。

デメリット
  • 為替の交換手数料などの費用がかかる
  • 保険料の日本円での支払額が変動するので、家計のやりくりに支障が出る可能性がある
  • 保険金などの受取金額が変動する
  • 為替差損で元本割れすることがある
金銭の授受は円でも行うことができるとお伝えしましたが、外貨に交換してもらう際の手数料がかかります。為替手数料は保険会社によって異なり、保険料の支払い時と保険金などの受け取り時の両方でかかることに注意は必要です。また、上記の為替手数料に加え、一時払いの商品については契約時に2~6%の手数料が差し引かれます。

為替レートによって日本円での支払い額が変動するため、家計のやりくりに困ることがあるかもしれません。保険料にもよりますが、日本円で支払う保険料が数百円から数千円変わることもあります。「残高不足で保険料の引き落としができなかった」ということのないように家計を管理しなければなりません。

毎月の保険料だけでなく、受取額も為替に左右されます。受取時の為替によっては、受取額が今まで支払った保険料を下回る「元本割れ」のリスクもあります。

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外貨建て個人年金との上手な付き合い方

デメリットもある外貨建て個人年金ですが、そのデメリットをカバーする方法がありますよ。

(1)為替のリスクとその対応はどうすればいい?
将来の為替を予測するのは困難ですが、「為替がいくらになったら元本割れするか」を想定しておきましょう。過去の為替の推移を見ながら、「何回元本割れの危機があったか」を確認すると参考になります。

受取時に為替が円高になっていた場合は、一旦外貨預金の銀行口座で受け取り、為替変動のタイミングを見て、自分で円に換金することもできます。もしくは、あらかじめ「据え置き(契約の延長)」ができる商品を選んでおく方法もあります。

(2)手数料は高くはない
海外旅行の際、銀行などで為替交換を利用された方もいらっしゃると思います。為替交換の手数料は、銀行では1ドルにつき1円が一般的ですが、保険会社の場合は1ドルにつき1~50銭など、銀行に比べて安いことが多いです。

例えば、為替交換手数料が1ドルにつき50銭で保険料が毎月100ドルの場合、1回につき50円、30年間保険料を支払う契約なら、為替手数料は合計で1万8,000円(50円×12ヵ月×30年)と大きな金額ではありませんね。

設計書に書かれている給付金・解約返戻金額は、さまざまな手数料(為替手数料は除く)が考慮された金額になっていますが、担当者にしっかり確認しましょう。「手数料は別に支払うの?」と思われるかもしれませんが、為替レートに上乗せされて、保険料と一緒に引き落とし(もしくはクレジットカード決済)されるので、面倒な手続きはありません。

(3)保険料の支払金額を固定したいなら
保険会社によっては、例えば「毎月1万円」と円で保険料の支払金額を指定できる商品もあります。1万円で購入できるだけの外貨に交換して運用してもらえるので、「保険料が一定のほうがいい」という方は、商品選びの際に支払い通貨を確認してみましょう。

外貨建て個人年金に向いている人、向いていない人

様々なメリット・デメリット、またデメリットをカバーする方法がありますが、外貨建て個人年金はどのような人に向いていて、どのような人には向いていないのでしょうか。

向いている人
  • 外貨資産を増やしたい人
  • 為替リスクを許容できる人
  • 資産のリスク分散をしたい人
  • 余裕資金(使う予定のないお金)のある人
外貨建て個人年金は債券を中心に運用されますが、個人で債券投資をする場合と比べて少額で始めることができ、自分で銘柄選択・管理をするなどの手間も省けます。すでに株式などの有価証券で資産運用している人も、リスク分散のために取り入れてみるといいでしょう。

ただし、為替レートによっては受け取り時期をずらしたり、元本割れが発生したりすることもあるので、ある程度の余裕資産がある人に向いています。

向いていない人
  • 元本割れするのが嫌な人
  • 外貨を持ちたくない人
  • 確実にお金を貯めたい人
  • 積極的な運用をしたくない人
「元本保証がないことに納得できない」「為替が理解できない」という人は、やめておきましょう。為替相場のニュースを見るたびに不安になってしまうからです。また、必要金額や必要時期が決まっている資金などのために確実にお金を貯めたい人は、円建ての個人年金や預貯金を選ぶほうがいいでしょう。

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外貨建て保険で通貨分散・資産分散できるが……

「卵は一つのかごに盛るな」という資産運用の格言があります。

これは、「卵を一つのかごに入れて落としてしまったら全部が割れるかもしれないが、複数のかごに分けておけば、あるかごを落として卵が割れても残りかごの卵は守れる」ということです。資産運用では、「複数の商品に投資をして、リスクを分散すべき」という教えとして有名です。

老後の資金準備においても、同じことが言えます。外貨建て保険だけでなく、預貯金や投資信託、株式などの有価証券に投資する方法もあるので、無理に1つに決める必要はありません。

一般的に、老後資金は3,000万~4,000万円程度が必要と言われています。その一部を準備する方法として、通貨の分散と資産の分散ができる外貨建ての年金保険を検討するといいでしょう。

外貨建て保険には良いところもありますが、もちろん万能ではありません。メリットだけでなく、デメリットも含めて検討することが大切です。

老後資金は早めの準備を

お金は「そのうち貯めよう」と思っても、なかなか貯めることができません。今を楽しむことも大切ですが、40代ともなれば真剣に老後に向けてプランを練っておきたいものです。将来後悔しないためにも、現役世代の今、上手にお金を貯めて増やしていきたいものですね。

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文・冨士野喜子(ふじのFP事務所所属)

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