保険の契約を考えるとき、「保険の代理店」という存在に接することがあるだろう。果たして代理店とは何をしてくれるのだろうか。またファイナンシャル・プランナーとして経験を積んだ人の中には、独立して代理店を始めたいという人もいるだろう。代理店を開業するにあたっては、クリアしなければならない条件や取得しなければならない資格がある。

将来、代理店として独立したい人はのみならず、保険の契約や見直しを考えている人は「保険の代理店」が何をしてくれるのか、どんな存在なのかを知っておくと何かと有利になるはずだ。

保険代理店とは? 行う業務の種類とは?

保険の募集形態は、直扱・仲立人扱・代理店扱の3つに大別される。「直扱」とは、保険会社の職員と契約者の間で保険契約を締結する募集形態のことをいう。「仲立人扱」も契約形態は直扱と同じだが、仲介人が保険会社と契約者の媒介をする。これに対して「代理店扱」では、代理店と契約者の間で保険契約が締結される。保険会社と代理店の間では「代理店委託契約」が締結されており、代理店はその委託内容に基づき保険契約を締結したり、保険料を領収したりするのだ。

保険代理店が行う業務には、以下のようなものがある。

  • 保険契約の募集、締結
  • 保険契約の解除や変更の受付
  • 保険料の領収、返還、保管、領収証の発行と交付
  • 保険証券の交付
  • 満期管理をはじめとする保険契約の維持、管理
  • 保険契約に関する報告
  • 保険の目的に関する調査
  • 事故の受付、保険会社への事故報告
  • 保険金請求手続きのサポート

専業代理店は別名「プロ代理店」、副業代理店との違いとは

保険代理店は、その業務形態によって次の2種類に大別される。専業代理店と、副業代理店だ。専業代理店とは保険販売のみを行う代理店のことをいい、「プロ代理店」と呼ばれることもある。これに対して副業代理店は、保険販売以外の業務も行う代理店のことをいう。旅行代理店や自動車整備工場、自動車ディーラー、不動産業者などがその代表例である。

専属代理店は1社のみから委託、乗合代理店は複数の会社から委託

保険代理店は、代理店委託契約を締結する保険会社の数によって「専属代理店」と「乗合代理店」のいずれかに分類される。専属代理店とは保険会社1社のみから委託を受けている代理店のことを、乗合代理店とは複数の保険会社から委託を受けている代理店のことをいう。詳しくは後述するが、専属代理店か乗合代理店かによって、取得すべき資格が変わってくる。そのため保険代理店を始めるときは、どちらの形態にするのか慎重に判断する必要がある。