2018年1月から始まった「つみたてNISA」は、分配金や売却して出た利益に税金がかからない非課税制度です。
40代独身女性から見た「つみたてNISA」を始めるメリットや、注意しておきたいポイントとはどんなものでしょうか?
いいところ(1) 非課税の期間が20年である
つみたてNISAは、毎月コツコツ少しずつお金を投資して、積み立てていくための制度です。
投資先を自分で選ぶ必要がありますが、安定的な資産形成ができるようにと金融庁が定めた、手数料の安さや分配金の頻度など、さまざまな基準をクリアした投資信託だけに絞られています。
一番のメリットは「非課税」であることです。そして、非課税の期間が最長20年である点こそが、40代女性が注目すべきところでしょう。
この「非課税」がどれだけすごいかというと、通常の投資で増えたお金は、普通だと約20%が税金として徴収されます。つみたてNISAは非課税なので、それがないのです。
20年という期間は、40代の人が老後に向けてためていくには、ちょうどいい年数でしょう。20代や30代の人が始めても同じメリットは享受できますが、非課税期間が終わってもまだ退職までの時間が空くので、次の運用先をどうするかを考える必要が出てきます。
逆に50代や60代で始めたのでは、せっかく20年受けられる非課税の枠を使い切れないかもしれません。「もっと増やせたのに……」ということになってしまいます。
ちなみに「つみたて」ではない普通のNISAだと、非課税期間は5年だけです。
いいところ(2) 少額から始められる
つみたてNISAで非課税になる金額は、年間40万円までです。毎月のつみたて額の上限は3万3,000円ほどです。普通のNISAの年間120万円と比べれば少額ですが、あまり積極的に投資してこなかった人が、気軽に始めて長い年月をかけてコツコツ続けるには向いています。
上限額もそんなに高額ではないのですが、証券会社によっては月100円からでも始められます。40代ともなれば、毎月3万円ほどなら、ねん出できるのではないでしょうか。
とはいえ、これまでやってこなかった投資・資産運用に、いきなりその額を毎月出し始めることに抵抗を感じる人もいるかもしれません。ほかにも投資したい商品があるかもしれませんし、定期預金をしている人もいるでしょう。
たとえ毎月3万円も出すのは厳しいという人も少額からチャレンジできます。無理のない範囲ですぐに始められるのは、つみたてNISAの魅力といえます。
いいところ(3) 人生の大きな変化にも対応できる
40代といえば、部下や後輩ができて職場では中堅ですし、会社員人生も折り返しが迫っています。そろそろ老後、定年退職した後のことを考える時期です。いわば“攻め”よりも“守り”を意識して、大きな変化を好まない人が増える時期といえるのではないでしょうか。
ただ、いくら自分が“守り”を意識しても、今後の人生がどうなるかは分かりません。もしかしたらこれから結婚するかもしれませんし、家を買おうと思うかもしれません。親に何かあって入院や介護などの出費があるかもしれないし、かくいう自分にも何かある可能性も否定できません。
こう考えると、将来どんなことがあっても、対応できるようにしておくべきでしょう。この点、つみたてNISAは「○○歳まで引き出せない」「○○にしか使えない」などの制限がありません。
投資・運用目的で積み立ててきたお金ですが、「どうしても使わなければいけない」タイミングなら現金化して使うこともできるのです。
つみたてNISAには注意点もある
このように見どころの多いつみたてNISAですが、もちろん注意点もあります。まず投資である以上、「増えるとは限らない」ことです。
リスクが低いとはいえ、貯金とは違いますので、元本割れの可能性はゼロではありません。選ぶ投資信託の実績をチェックしたり、毎月の積立額も無理のない範囲に抑えたりしましょう。
次に「投資で損が出ても、他のもうけと相殺できない」ことも注意しておきたい点です。
通常の投資だと、マイナスが出てもプラスと相殺して税金を計算できます(損益通算といいます)。NISAではこれができません。出た損失を翌年以降に持ち越して税金を安くする「繰越控除」もできないので注意しましょう。
つみたてNISAを始めるには口座が必要
NISAには専用口座が必要なので、証券会社に口座があっても別につくる必要があります。多くの銀行や証券会社で開設できますが、扱っている商品数や提供しているサービスが異なるので、よく調べて選びましょう(あとで金融機関を変えることもできます)。
口座ができたら投資先や投資額を選ぶだけです。あとは決まった銘柄を決まった金額分だけを自動的に買っていってくれます。最初は上がったのか下がったのか気になるものですが、短期の値動きに一喜一憂せず、長期で考えるようにしましょう。
40代独身の今までがんばって働いてきた皆さんなら、生活に困らないだけの蓄えはあるかもしれません。しかし、この先どういう変化があるか分かりません。
それはうれしい変化かもしれないし、喜ばしくない変化かもしれません。60歳や65歳の定年まで、もう20年を切っている人もいるでしょう。40代の今は、その先を見据えた準備を始める時期といえるのではないでしょうか。
文・馬場愛梨(ファイナンシャルプランナー・心理カウンセラー)
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