これから投資を始める方は、まず口座を開設する証券会社を決めないといけません。おすすめは手数料が安いネット証券です。しかしたくさんのネット証券がありますので、ひとつひとつ比較していくのはちょっと面倒ですよね。
そこで今回は、FPおすすめのネット証券10社をランキング形式にまとめてみました。さらに記事の後半では、その10社を「手数料」や「取扱商品」などの項目でより細かく比較していきます。
目次
多角的な視点で比較検討して、“自分にとってのベストなネット証券”を選べるといいですね。
1. FPおすすめ ネット証券10社を比較、総合ランキング
証券会社選びのポイントはさまざまです。ここでは「株式手数料」と「投資信託の取り扱い」「非課税制度」「外国株」の4点を総合的に考えたおすすめランキングTOP10をご紹介します。
【ネット証券10社 おすすめランキング】
・1位:SBI証券
・2位:日産オンライン証券
・3位:楽天証券
・4位:松井証券
・5位:SBIネオモバイル証券
・6位:むさし証券トレジャーネット
・7位:SBIネオトレード証券(旧ライブスター証券)
・8位:マネックス証券
・9位:岡三オンライン証券
・10位:DMM.com証券
それぞれ、ランクインの理由や特徴を詳しく見ていきましょう。※いずれも2021年4月22日時点の情報です。
1位:SBI証券 手厚いサービスでダントツの首位!
株式手数料 ※1取引ごと |
投信の取扱い | 非課税制度 | 外国株 |
・最低:55円 ・最高:1,070円 |
・2,652本 販売手数料無料 |
・一般NISA ・つみたてNISA ・iDeCo |
9カ国 (米国、中国など) |
- 投資信託の取り扱いが豊富
- 非課税制度は3つすべて用意
- 外国株式は10社で最多の9ヵ国
- 株式は1日50万円までなら無料で取引できる(アクティブプラン)
※100万円以下の取引でも、いったん手数料が取られ、翌日返還される
10社の中で最もおすすめのネット証券はSBI証券です。豊富な投資信託の取り扱いがあり、サービスがとても充実しています。また1日100万円以下なら無料で株取引できる定額プランが決め手になりました。
SBI証券は投資信託を2,600本以上用意し、取扱い数の最も多い楽天証券とほぼ同水準です。非課税制度も3つすべて用意しており、海外株式は最多の9ヵ国です。
株式手数料については、基本のプラン(スタンダードプラン)に加え、1日の合計取引金額で手数料を計算する定額プラン(アクティブプラン)があり、1日100万円までの取引手数料が無料になるのは定額プランの方です。
投資初心者は、まずSBI証券に口座を作ることをおすすめします。
【25歳以下の株式手数料がずっと実質無料】
SBI証券は「ネオ証券化」と銘打ち、取引にかかるさまざまな手数料を無料にしようとしています。その一環で、2021年4月20日から25歳以下の方の国内手数料が撤廃されます。
正確には、いったん手数料が取られますが、後でキャッシュバックされる仕組みです。よりお得に取引できますから、該当する方には特にSBI証券をおすすめします。
若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
2位:日産証券(オンライン) 株式手数料の上限が最も安い
株式手数料 ※1取引ごと |
投信の取扱い | 非課税制度 | 外国株 |
・最低:25円 ・最高:550円 |
なし | なし | なし |
【FPおすすめポイント】株式派なら日産証券
・株式手数料の上限が550円で、10社の中で最も安い
・ 投信や優遇制度などの取り扱いはなし
・ 株式を中心にトレードする方におすすめ
日産証券のオンライントレードの株式手数料は、10社の中で最も上限が低く設定されています。一方、投資信託や非課税制度、外国株などの取り扱いはありません。
定額プランの設定はありませんが、充分安い手数料で株式の取引ができるでしょう。株式を専門的に取引する方なら日産証券がおすすめです。

【日産自動車とは無関係】
日産証券は昭和23年(1948)に設立された老舗の証券会社で、自動車の日産とは関係ありません。岡藤日産証券ホールディングスの子会社です。
若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
3位:楽天証券 投信の取り扱い数No.1 楽天ポイントも魅力
株式手数料 ※1取引ごと |
投信の取扱い | 非課税制度 | 外国株 |
・最低:55円 ・最高:1,070円 |
・2,691本 販売手数料無料 |
・一般NISA ・つみたてNISA ・iDeCo |
6カ国 (米国、中国など) |
【FPおすすめポイント】投資信託なら楽天証券
・投資信託の取り扱いは10社の中で最多
・ 非課税制度は3つすべて用意
・ 株式は1日100万円までなら無料で取引できる(いちにち定額コース)
・ 投資信託を楽天カードで購入できるなど、楽天ポイントが貯まりやすい
楽天証券は投資信託の取り扱い数が10社の中で最も豊富。株式も、1日100万円までなら無料で取引ができます。充実したサービス内容といえるでしょう。
楽天証券の大きな魅力は、投資信託の積立に「楽天カード」が利用でき、買い付け金額の1%分の楽天ポイントが貯まることです。投資信託の手数料はすべて無料ですから、ポイント分がお得になります。
ほかにも「資産形成ポイント」という、50万円以上の投資信託を保有している人を対象にしたポイント還元サービスが用意されているなど、特に楽天ユーザーには多くのメリットがあります。

【預金金利100倍+無料ツールも魅力】
楽天証券は、同グループの「楽天銀行」と連携させると、楽天銀行の普通預金金利が0.1%まで引き上がります。全国の普通預金金利は0.001%(2021年4月21日時点)なので、実に100倍もの好金利です。
また、楽天証券に口座を開くと専用の取引ツールを利用できますが、そのツールを通して日経新聞を読むことができます。取引ツールも日経新聞も利用料はかかりません。
平均より100倍有利な普通預金金利と無料ツールも楽天証券の魅力です。
若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
4位:松井証券 50万円までの株取引ならいつでも無料
株式手数料 ※定額プラン |
投信の取扱い | 非課税制度 | 外国株 |
・最低:0円 ・最高:11万円 |
・1,436本 ・販売手数料無料 |
・一般NISA ・つみたてNISA ・iDeCo |
なし |
【FPおすすめポイント】50万円までの無料取引はコース変更不要
・株式は1日50万円までなら無料で取引できる
・ 投資信託の取り扱いは充分豊富
・ 非課税制度は3つすべて用意
松井証券の株式手数料は定額プランのみで、1日の取引金額で手数料が決定します。また、1日50万円までの株式取引には手数料がかかりません。
SBI証券や楽天証券は100万円まで無料ですが、どちらも取引コースを変更しないといけません。松井証券は変更せずとも無料になるので、設定が苦手な方にはおすすめです。

【FXを全面リニューアル 初心者にやさしいサービスに】
松井証券は2021年2月、FXサービス(海外通貨の取引)をリニューアルしました。「あんしんFX」をコンセプトに、初心者が安心してFXを始められるようさまざまな施策に取り組んでいます。
小さいコストで100円から取引できるようになり、また電話サポート窓口も夜23時まで受け付けています。
「FXも始めてみたい」という方は松井証券が向いているかもしれません。
若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
5位:SBIネオモバイル証券 月間の定額サービスはネオモバイルだけ
株式手数料 ※月間定額プラン |
投信の取扱い | 非課税制度 | 外国株 |
・最低:220円 ・最高:上限なし |
なし | iDeCo (SBI証券の受付) |
なし |
【FPおすすめポイント】1株単位で投資するならSBIネオモバイル証券
・株式の手数料は月間の累計取引代金で決まる
・ 1株からでも投資ができる(通常は100株単位)
・ 1株単位の取引をする方におすすめ
SBIネオモバイル証券は、月間の取引金額で手数料が計算される、ちょっと珍しいネット証券です。
月の取引金額 | 手数料(月額) |
---|---|
50万円以下 | 220円 |
300万円以下 | 1,100円 |
500万円以下 | 3,300円 |
1,000万円以下 | 5,500円 |
※以降100万円ごとに1,100円が加算(上限なし) |
また、1株から株式の売買ができるのも特徴です。株式投資は原則100株単位で取引を行います。この100株を「1単元」といい、100株未満の取引はできない、あるいは高めの手数料が設定されているネット証券が多い中、SBIネオモバイル証券は単元未満株の取引でも手数料が変わりません。
「単元未満(100株未満)の株式で毎日10万円取引する場合」を例にして、各社を比較したものが次の表です。
・1株単位で投資するならSBIネオモバイル証券
1日の売買手数料 | 月間の売買手数料 (20営業日) |
|
日産証券 | 単元未満株の買いは不可 | - |
SBI証券(S株) | 550円 | 1万1,000円 |
SBIネオモバイル証券 | - | 1,100円 |
この例からも分かるように、単元未満の株式で自由に取引したいならSBIネオモバイル証券がおすすめと言えるでしょう。

【取引しない月には注意】
SBIネオモバイル証券は10社で唯一月額の手数料がかかります。上述の通り、取引金額に応じて大きくなりますが、取引が全くない月でも220円かかる点に注意しましょう。
なお、SBIネオモバイル証券もFXサービスを展開していますが、こちらは月の手数料に影響がありません。また主要な通貨ペア「米ドル/円」は1,000ドルまで取引コストがかかりません。
若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
6位:むさし証券トレジャーネット 200~300万円の株取引なら最安
株式手数料 ※1取引ごと |
投信の取扱い | 非課税制度 | 外国株 |
・最低:82円 ・最高:3,872円 |
・57本 | ・一般NISA | なし |
【FPおすすめポイント】200万円超300万円以下の取引は日産証券より安い
・株式手数料がネット証券の中でも比較的安い
・ 200~300万円の株式取引では最安
・ 投資信託の取り扱いもある
・ 一般NISAに対応
むさし証券トレジャーネットも、比較的安い手数料で株式取引できるネット証券です。 株式手数料が安い日産証券(オンライン)と比較すると、取引金額が200万円超~300万円ではむさし証券トレジャーネットの方が安くなります。
・200万円超300万円以下の取引は日産証券より安い
取引金額200万円超~300万円以下の手数料 | |
日産証券 (オンライン) |
550円 |
むさし証券 トレジャーネット |
484円 |
200~300万円の価格帯で取引を繰り返す方には、むさし証券トレジャーネットをおすすめします。
なお、ネット証券各社の取引金額ごとの手数料は後述します。

【信用取引の金利が最低】
初心者の方は避けていただきたいですが、株式の取引には「信用取引」という方法があります。これは、証券会社からお金を借りて取引する方法です。
お金を借りるので、金利が発生します。むさし証券トレジャーネットは日産証券と並び、10社の中で最も信用取引の金利が低いネット証券です(1.35%。制度信用の買い)。
初心者向きではありませんが、取引に慣れた方にとっては信用取引も有効な手段です。信用取引を行う場合はむさし証券トレジャーネットも検討してみるとよいでしょう。
若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
7位:SBIネオトレード証券(旧ライブスター証券)安い株式手数料+2つのNISAが魅力
株式手数料 ※1取引ごと |
投信の取扱い | 非課税制度 | 外国株 |
・最低:55円 ・最高:880円 |
・2本 販売手数料無料 |
・一般NISA ・つみたてNISA |
なし |
【FPおすすめポイント】人気の投信をノーロードで用意
・株式手数料がネット証券の中でも比較的安い
・ 一般NISA、つみたてNISAに対応
・投信は2本だけ。販売手数料はいずれも無料
ネット証券の中でも株式手数料が低いタイプは、投資信託や非課税制度に対応していないことが多いです。SBIネオトレード証券は手数料が低いタイプのネット証券ですが、投資信託の取り扱いがあり、さらに一般NISAおよびつみたてNISAに対応しています。
取り扱い投資信託は2本だけですが、純資産総額4,000億円を超える人気銘柄の用意があり、つみたてNISAで購入することができます。
安い株式手数料と非課税制度を両立させたい方はSBIネオトレード証券がおすすめです。

【改善を続ける取引システム】
SBIネオトレード証券はHPで取引画面やツールの改善状況を開示しています。顧客の要望に応え、さまざまな機能を追加し続けているようです。改善に意欲的な点はうれしいですね。
なお、同社はもともと「ライブスター証券」という名前でしたが、SBIグループの傘下になり、2021年1月1日にSBIネオトレード証券となりました。
若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
8位:マネックス証券 総合力高いオールラウンダー
株式手数料 ※1取引ごと |
投信の取扱い | 非課税制度 | 外国株 |
・最低:110円 ・最高:上限なし円 |
・1,201本 販売手数料無料 |
・一般NISA ・つみたてNISA ・iDeCo |
2カ国 (米国、中国) |
【FPおすすめポイント】大手の商品力+IPOの公平な抽選
・投資信託の取り扱いは充分豊富
・ 非課税制度は3つすべて用意
・ IPOの公平な抽選
マネックス証券は大手らしい商品力を備えたネット証券です。1,000本以上の投資信託と3つの非課税制度を用意し、外国株にも対応しています。
また、マネックス証券の特徴の1つに「IPO(新規公開株式)」の公平な抽選があります。IPOの配分は人気がある一方「不公正な配分が行われているのでは」という指摘が以前からありました。
マネックス証券のIPO配分はコンピューターによる無作為な抽選で、人間の恣意が関与しません。IPO投資を狙う方はマネックス証券でも口座を作ってみてはいかがでしょうか。

【豊富な米国株の取扱銘柄】
米国株は国内株と異なり、証券会社ごとに取り扱いに差があります。マネックス証券は米国株の取り扱いが多く、4,098銘柄で取引できます(2021年4月22日時点。ETF含む)。
マネックス証券は銘柄要望受付サービス「シンボルプラス」で取り扱ってほしい銘柄を随時受け付けている、米国株の取り扱いを増やし続けています。米国株中心に取引したい方はマネックス証券が向いているかもしれません。
若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
9位:岡三オンライン証券 老舗証券会社のネット証券
株式手数料 ※1取引ごと |
投信の取扱い | 非課税制度 | 外国株 |
・最低:108円 ・最高:3,300円 |
・580本 販売手数料無料 |
・一般NISA ・iDeCo |
1カ国 (中国) |
【FPおすすめポイント】ネット証券+アドバイスが強みに
・株式は1日50万円までなら無料で取引できる(定額プラン)
・ 投資信託の取り扱いは充分豊富
・ 一般NISA、iDeCoに対応
・ 資産運用の助言を受けられる「サポートコース」
岡三オンライン証券は、1日50万円までの株式取引が無料になる「定額プラン」を提供しています。投信が500本以上で、iDeCoにも対応しています。
「サポートコース」では一部の金融商品で対面のアドバイスが受けられます。上乗せのコストがありますが、プロに直接相談ができるのはありがたいですね。
投資初心者や運用がうまくいっていない方は利用してみるとよいかもしれません。

【開設後3ヵ月間は手数料実質無料】
岡三オンライン証券は、新たに口座開設した月を含め3ヵ月間の取引手数料が実質無料です。期間中に発生した国内株式の手数料の全額がキャッシュバックされるためです。
同プログラムは常設で、期間限定ではありません。またキャッシュバックに上限もありません。
なお、岡三オンライン証券は、同じグループの「岡三証券」と2021年10月に統合される予定ですが、現行の取引ルールに変わりはなく、引き続きインターネットを通じた取引ができる予定です。
若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
10位:DMM.com証券 取引手数料の1%分ポイントバック
株式手数料 ※1取引ごと |
投信の取扱い | 非課税制度 | 外国株 |
・最低:55円 ・最高:880円 |
なし | ・一般NISA | 1カ国 (米国) |
【FPおすすめポイント】新規開設後の1ヵ月間は株式手数料が無料
・株式手数料がネット証券の中でも比較的安い
・ 手数料の1%分の「DMM株ポイント」がもらえる
・ 新規開設後1ヵ月は株式の手数料が無料
DMM.com証券は株式手数料が比較的安いタイプのネット証券です。投資信託の取り扱いはありませんが、一般NISAと米国株に対応しています。また、株式手数料の定額プランはありません。
DMM.com証券では、株式手数料の1%分が「DMM株ポイント」として還元されます。貯まったポイントは1ポイント=1円で、1,000ポイント以上で現金に交換できます。
また、新規口座開設キャンペーンで、新たに口座開設した日から1ヵ月間は株式手数料が無料になりますよ。

【ユニークな資産運用「BANUSY(バヌーシー)】
DMM.com証券は「BANUSY」というファンドサービスも提供しています。競走馬を対象としており、出資口数に応じて賞金の分配を受けられます。
端的にいえばみんなで馬券を買っているようなものですが、馬名の提案ができるほか、ホースマン(調教師など)から競走馬の近況報告も受けられ、オーナーにならないと体験できないようなサービスを受けられます。
資産運用の効果としては未知数ですが、ほかにない独特なサービスも同社の特徴です。
若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
2.手数料はどのくらい差がある? ネット証券10社を比較
ここからは、より詳しい視点で各証券会社を比較していきます。まずは取引手数料から見ていきましょう。
証券会社を選ぶ際は、手数料の安さに着目!
ネット証券会社を選ぶ際、多くの人が気にするポイントが「取引手数料」です。
株式や投資信託は、同じ銘柄ならどの証券会社で買っても全く同じ内容ですが、手数料は証券会社によって違います。全く同じ商品であれば、手数料は安い方が良いですよね。
しかし、ネット証券の取引手数料は、取引金額や条件によって各社に違いがあるため、一概にここが一番安いとは言い切れません。各社の条件を確認したうえで、保有資産や投資スタイルにあわせて最も手数料がお得になる証券会社を選びましょう。
「総合証券」と「ネット証券」、手数料に違いはある?
手数料は対面式の総合証券よりネット証券の方が安い傾向にあります。
対面式の総合証券は、顧客の投資相談に乗りアドバイスを行う、フルサービスの証券会社です。その分、手数料が高く設定されています。
一方ネット証券は、リサーチや投資判断のすべてを顧客が行う、セルフサービスの証券会社です。その分、手数料は安い傾向にあります。

(画像=著者作成)
どちらも一長一短ですが、手数料重視派はネット証券を選択し、自分で投資判断ができるようになるのが望ましいでしょう。
ネット証券10社の手数料を比較(取引1回ごと)
株式の手数料は、「取引1回ごとに計算するタイプ」と「1日の合計取引金額で計算するタイプ(定額プラン)」があります。1日に何度も取引する場合、後者のタイプを選んだほうが有利に取引できる可能性があります。
まずは「取引1回ごとに計算するタイプ」で比較してみましょう。

(画像=著者作成)
ネット証券の株式手数料を、1取引ごとの手数料体系で比較した場合、概ね「日産証券(オンライン)」が最も安くなりました。300万円の取引でのみ「むさし証券トレジャーネット」が安いようです。
日産証券は株式手数料の上限が550円で、取引金額が大きくなっても一律550円で売買できます。1取引ごとの手数料体系の場合、日産証券が10社の中で最も有利に取引できそうです。
ネット証券10社の手数料を比較(定額プラン)

(画像=著者作成)
1日の合計取引金額で手数料を計算する定額プランの場合、SBI証券、楽天証券、岡三オンライン証券の3社に注目です。この3社は1日100万円以下の取引なら、手数料が無料だからです。松井証券の場合、50万円までなら無料です。
ただし、1日の取引金額が大きくなると、むさし証券トレジャーネットかSBIネオトレード証券券の手数料の方が安くなってきます。
1日に何度も取引する方のうち、100万円を超えそうな方はむさし証券トレジャーネットか、SBIネオトレード証券を選びましょう。
・1日に何度も取引する方も、日産証券は要チェック
1日の取引金額が100万円以下なら無料の3社(SBI、楽天、岡三)を使うべきですが、以下の方は日産証券を選んだ方がお得です。
【1日に何度も取引する方のうち、日産証券を選んだ方がいい方】
・1日の取引金額が100万円を超える
・1取引あたりの金額が大きい
日産証券は定額プランがありませんが、取引1回ごとの手数料がそもそも安いので、何度も取引しても手数料の総額が安くなることがあるのです。
例えば1日300万円の取引をするとき、定額プランで最も手数料が安いのはむさし証券トレジャーネット(1,320円)です。日産証券で1日300万円取引する場合、1取引の金額が10万円なら手数料総額は720円となります。
同様に、1日500万円の取引でも日産証券の方が安くなるケースがあります。以下の図を参考にしてください。

(画像=著者作成)
1日に何度も取引する方でも、1回の取引金額が大きくなると、取引1回ごとに手数料を計算するタイプの方が安くなります。したがって、その中でも最も安い日産証券が有利になるケースがあります。
1回の数十万円の取引を何度も繰り返すような方は、日産証券の手数料を一度チェックしてみましょう。
結局どのネット証券が一番手数料は安いの?
ここまでネット証券を10社紹介しました。ここで、結局どのネット証券が最も安い手数料で取引できるのか、分かりやすくまとめましょう。
・「自分がどれくらいの金額で取引するか」で選びましょう
ネット証券や取引プランによって手数料が違いますので、どのネット証券が一番安いかは一概にはいえません。しかし、「自分がどれくらいの金額で取引するか」で考えると、手数料が安いネット証券を絞ることができます。
・1日100万円までの取引なら無料の43社を
1日100万円までの取引なら無料のネット証券 |
・SBI証券(アクティブプラン) ・楽天証券(いちにち定額コース) ・岡三オンライン証券(定額プラン) |
SBI証券、楽天証券、岡三オンライン証券は1日100万円以下の取引は無料なので、1日の取引金額が100万円以内なら3社が最も安くなります。
3社の中で迷ったらSBI証券にしてはいかがでしょうか。1日の取引金額がうっかり100万円を超えたとき、3社の中で最も手数料が安いためです。
定額プランの手数料 | ||
100~200万円 | 200~300万円 | |
SBI証券 | 1,278円 | 1,718円 |
楽天証券 | 2,200円 | 3,300円 |
岡三オンライン証券 | 1,430円 | 1,980円 |
取引に熱中していると、つい1日の取引金額が100万円を超えてしまうケースが想定されます。SBI証券ならその場合でも、最も低いコストに抑えられるのでおすすめです。
・1日の取引金額が100万円以上なら日産証券
1日の取引金額が100万円を超える場合、日産証券(オンライン)を選ぶといいでしょう。1回の取引金額が100万円を超えた場合の手数料が安く、200万円超の取引は一律550円です。

ただし、200~300万円の取引はむさし証券トレジャーネットの方が安くなります。取引金額が300万円を超える場合、いずれの金額でも日産証券の方が安くなります。
上述しましたが、定額プランとの比較についても、1回の取引金額がある程度大きい場合は日産証券の方が安くなります。
取引金額によって微妙に変わってきますが、1日の取引金額が100万円以上の場合、概ね日産証券が最も手数料が安くなるといえるでしょう。

【手数料以外も大切】
ここではネット証券を選ぶポイントの1つとして取引手数料をご紹介しました。手数料が安いほど利益を得やすくなるので重要なポイントですが、手数料以外の要素も大切です。
次章からさまざまな視点で選べるよう、10社のネット証券を「取扱商品」などの基準で比較します。
若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
3.取扱商品の違いは? ネット証券10社を比較
続いて、どんな商品を取り扱っているか10社で比較してみましょう。投資信託と外国株以外に、債券やFXでも比較しています。

ネット証券10社を比較すると、取扱商品の種類には結構差があることがわかりますね。
4つの商品をすべて用意しているのはSBI証券、楽天証券、マネックス証券、岡三オンライン証券です。この4社なら幅広い商品から資産運用を考えることができそうです。
各商品の概要は次の通りです。
投資信託 | さまざまな金融商品を1つにしたもの 株式型や債券型など、タイプはさまざま |
外国株 | 米国や中国など、海外企業の株式 ※国内に上場している外国株もあります |
債券 | 満期があり、満期まで利息収入がある商品 国債や外国債券などがある |
FX | 外国の通貨に投資 値上がり益や金利相当の収入(スワップポイント)がある |
「どの商品が優れている」、あるいは「この商品はよくない」とは一概にいえません。どの金融商品にも一長一短があり、どれが正解かは決められないでしょう。
いずれにしろ、投資にはリスクがあることを念頭に置きつつ、自分に合った金融商品を探してみてください。

【商品ごとの取扱銘柄にも差が】
冒頭のランキングで触れているように、商品ごとの取扱銘柄にも差がある点には注意しましょう。
例えば投資信託を取り扱っているといっても、SBIネオトレード証券は2銘柄しかありませんが、SBI証券なら2,600銘柄以上あります。ネット証券選びでは、「どの商品をどれくらい取り扱っているか」を知ることが大切です。
同じように、債券や外国株、FXは取扱銘柄に差があります。事前にチェックしておきましょう。
若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
4..NISA、つみたてNISA、iDeCoの取り扱いはある? ネット証券10社を比較
これから投資を始めるなら、より有利に投資できる優遇制度を活用するのも良い選択肢です。優遇制度には主に「一般NISA」「つみたてNISA」「iDeCo(個人型確定拠出年金)」があります。
一般NISA、つみたてNISA、iDeCoでは運用で得られた利益が非課税になります。通常だと20.315%の税金がかかりますから、これらの優遇制度を利用したほうがお得に運用できますね。
しかし、これらはすべての証券会社が対応しているわけではありません。10社の取り組みを比較しましょう。

(画像=著者作成)
非課税制度を利用すると運用効率UP
通常、株式や投資信託の利益には20.315%の税金がかかります。100万円利益を出しても、約20万円が引かれてしまう計算です。
非課税制度を利用すると利益に対して税金がかかりません。手取りが増えますので、効率的に運用することができますよ。
・各非課税制度の概要
一般NISA | ・株、投資信託が対象 ・好きなタイミングで買える ・非課税期間は最長5年 |
運用益が非課税 (通常は20.315%) |
つみたてNISA | ・投資信託のみ ・買い方は積み立て方式だけ ・非課税期間は最長20年 |
|
iDeCo | ・元本確保型の商品、投資信託が対象 ・原則積み立て方式で買う ・拠出の全額が所得控除 ・非課税期間は受け取りまで(原則60歳) |
投資スタイルやライフプランに合わせて利用しましょう
非課税制度はそれぞれルールが違います。「非課税制度でどんな投資をしたいのか」を考え、ぴったりなものを選びましょう。

【いつでも出金できるNISA、節税にもなるiDeCo】
NISAとiDeCoには運用益に税金がかからない共通点があります。両者の違いは「解約の制限」と「所得控除」にあります。
2つのNISAはいずれも好きなタイミングで解約・出金ができます。一方、iDeCoは原則60歳まで出金できません。資金の拘束期間が長い点がiDeCoの代表的なデメリットです。
その代わり、iDeCoに拠出したお金は全額所得控除となり、節税ができます。NISAにはこの仕組みがないため、いくら支払っても節税にはなりません。
一長一短あるので、都合の良い方を選択しましょう。なお、NISAとiDeCoは併用できますが、一般NISAとつみたてNISAを同じ年に併用することはできません。
若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
5.投資情報サイト、投資アプリ&ツールの使いやすさは? ネット証券10社を比較
投資の判断を行うにはいろんな情報が必要です。投資判断を助けてくれる投資情報の取り組みを比較しましょう。

投資情報は各社充実している
ネット証券は各社投資の情報は充実しています。多少の違いはありますが、基本的に上記10社のどの証券会社を選んでも充実した投資情報を得ることができるでしょう。
ネット証券各社が提供している投資情報は、口座を開設していない方でも見ることができるものもあります。参考にのぞいてみてはいかがでしょうか。
ほとんどのネット証券がスマホアプリに対応
スマホで簡単に取引ができるアプリは、むさし証券トレジャーネットを除く9社で提供しています。なお、むさし証券トレジャーネットはスマホ専用ページを用意しています。
ネット証券ではスマホでブラウザなどから取引することもできますが、ページの読み込みなどで手間がかかります。アプリならより簡単に取引ができますので、普段忙しい人にはメリットが大きいでしょう。
また、一部の投資情報はアプリでも確認することができます。アプリでもある程度の投資判断はできるでしょう。
有料の投資情報&ツールも
ネット証券各社は投資の情報を無料で公開しています。しかし、無料とは別に機関投資家(プロ)向けの投資情報や、より詳細な株価情報が確認できる投資ツールなどを有料で提供している証券会社もあります。
基本的には無料の投資情報で十分投資判断が できるでしょうが、「より積極的に運用したい!」というような人は有料の投資情報を利用してみてもいいかもしれません。
取引ごとにネット証券口座を複数持つという選択肢も
ネット証券はどれも同じように見えるかもしれませんが、比較してみると少しずつ違いがあります。
1日100万円までの取引ならSBI証券、楽天証券、岡三オンライン証券が選択肢に、大きな金額での取引なら日産証券(オンライン)やむさし証券トレジャーネットが選択肢になるでしょう。
証券口座はいくつ持っていても構いませんから、取引ごとに専用の証券口座を複数持つという選択肢もあります。違う証券会社でも確定申告を行えば損益通算も行えます。

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