新型コロナウイルス感染拡大を受け、欧米でも学校の閉鎖措置が加速しています。

欧米でまだそれほど感染が拡大していなかった当初は、中国や日本の臨時休校を「共働き家庭の事情を無視した決定」とする意見が大半でした。しかし、感染が現実味をおびるにつれ、「学校が閉まるのは不安だが、それ以上に感染の拡大も心配」と、複雑な心境に変化しつつあります。

範囲が拡大するロックダウン

感染者数・死亡者数が中国に次いで多いイタリアを筆頭に、アメリカやスペインなどで、国境や特定の地域、施設などが次々とロックダウン(封鎖・閉鎖)され、実質的には離状態にあります。

臨時休校に対する方針(対象・期間など)は国や州により異なり、ヨーロッパや中国、イラン、アルジェリア、コロンビアを含む114ヵ国が、国内すべての義務教育機関の閉鎖を実施あるいは決定しているのに対し、アメリカやカナダ、インド、ロシア、ブラジルなどは、一部の学校を対象としています(ユネスコ2020年3月19日データ)。全世界ではほぼ9億人の子どもが、自宅待機などの影響を受けています。

学校閉鎖、共働き夫婦はどうする?

閉鎖中は、日本の学童保育のように、子どもを預ける施設やサービスがない国もあります。施設やサービスがある国でも定員が設けられており、すべての子どもを受け入れる体勢が整っているわけではないようです。また、密集環境での感染リスクを懸念し、あえて通わせない親もいます。

共働き夫婦の対応策としては、勤務先と相談して夫婦交代で在宅勤務に切り替えたり、お互いの両親など時間に余裕のある家族や友人に子どもを預けたりするパターンが多いようです。

しかし、多くの共働き夫婦にとって、両親が感染リスクの高い高齢者であることから、最終的には欠勤を選択するケースも珍しくありません。中には、子どもの受け入れ先が見つからないにも関わらず、会社側が柔軟な対応をしてくれないため、「咳をしている、熱がある」など感染の可能性や免疫の低下を理由に、仕事を休んで切り抜ける親もいます。

親同士で協力し合い、交代で子どもを世話するという案も出ていますが、長期間自分の子どもだけではなく他人の子どもも、「ただ遊ばせるだけではなく、学校のように勉強などもさせる」という責任の重大さに、躊躇する親も少なくありません。