気がついたらつい揚げ物を食べている、コンビニのお菓子や、ファーストフードをときより無性に欲してしまう・・・なんてことはありませんか?どうして人は高カロリーなものほど魅力を感じ、食べたくなるのでしょうか。栄養学とスポーツ科学を専門とする筆者が、その理由について迫ります。

つい高カロリーなものを食べてしまうのは何故?

霜降りステーキ、唐揚げ、ポテトチップス、ファーストフードなど、高カロリーな食べ物はおいしくてついお箸が進んでしまいます。

ダイエットをしていると、こうした油の多い食事は太ってしまうのでできるだけ避けたいですよね。しかし、おいしいのでつい食べたくなってしまい、ダイエットの成功率を下げてしまいます。

そもそもどうして私たちは油の多い食事を好むのでしょうか。その理由を知るとダイエットの成功に繋がるかもしれません。今回は、どうして高カロリーなものほど食べたくなるのか、その理由について解説したいと思います。

食欲は胃ではなく「脳」で感じる

そもそも、ものを食べたいという欲求には脳が関係しています。

私たちの体は食事からエネルギーを得ないと動かすことができません。体の中にある程度の栄養を蓄えることはできますが、蓄えられる量には限りがあり常に食事からエネルギーを補う必要があるのです。

体がエネルギー不足だと感じると、その情報が脳に届けられ、体に何か食べなさいという命令を出します。これが食欲の正体です。

また、本当の空腹ではなくても食欲を感じることがあります。エモーショナルイーティングとも呼ばれる、感情に支配された食欲のことです。寂しい、満たされない、つまらないといった気持ちを食べることで埋めようとする行動です。体はエネルギー不足ではなくても、脳が辛さを察知すると幸せを感じようと、体に何かおいしいものを食べるように命令を出すことがあるのです。

脳の“報酬系”が食欲を増進させる

脳の中には“報酬系”というものが存在しています。これは脳の部位ではなく仕組みの名前です。

私たちは食事をして食べたものがおいしいと思うと、脳の中で「ドーパミン」という快楽をつかさどる物質が放出されます。それにより脳はもっと食べたいと感じます。この一連の流れを報酬系といいます。

私たちの頭の中には、このようにおいしいものを食べるともっと食べたくなるという仕組みが備わっているのです。これが高カロリーなものを、より食べたくなる理由の一つとして挙げられます。

糖質と脂質が多い食事は“報酬系”を活性化する

高カロリーなものには、糖質や脂質が多く含まれていることが多いです。

ある研究では、糖質が多く含まれているものや脂質が多く含まれているもの、糖質と脂質の両方が多く含まれているものを見せていき、どれを食べたいか選んでもらうという実験が行われました。

すると、人々は糖質と脂質の両方が多く含まれた食事をより食べたいと感じるという結果になりました。食事を見た時に脳の中がどうなっているのかを詳しく調べたところ、糖質と脂質の両方を多く含む食事を見た時に、脳の報酬系に関わる部位が強く活性化されていることが分かりました。

また油の多い食事に含まれるカロリーはほぼ正確に見積もれたが、ハンバーガーのような脂質と糖質の両方が含まれた食事に含まれるカロリーは過小評価されたという実験データもあります。

つまり脂質が多く高カロリーな食品ほど脳の報酬系を活性化させ、たくさん食べたいと思わせているのです。さらに残念なことに、たくさん食べる上に、あまりカロリーを摂取していないだろうと考えがちなので、太ってしまうことに繋がるのです。