2019年10月に列島を襲った未曾有の巨大台風第19号(アジア名:ハギビス/Hagibis)は、各地に甚大な被害をもたらしました。日ごろの備えについて改めて考えた方も多いのではないでしょうか。本稿では、災害への備えとしてマンションにも必要な「自主防災会」の作り方を紹介します。

巨大災害では従来安全とされたマンションにも被害が及ぶ

マンションは一戸建てに比べて台風や大雨には強いと言われてきました。しかし過去に例のない規模の台風の場合は、これまでの常識や慣例、対応方法は意味をなさなくなってしまいます。堤防が決壊、あるいは溢水や越水して河川氾濫になれば浸水被害を受けるマンションも少なくありません。事実、2019年の台風19号の場合は、神奈川県川崎市武蔵小杉駅近くにある47階建ての高層マンションが浸水で地下の配電盤が故障し、停電や断水の被害に遭いました。高層マンションだから安心とは限らないのです。

地球温暖化の影響もあり、近年では台風も大型化しているため、これまでの安全常識にとらわれず自分たちの身は自分で守らなければいけない時代になったといえます。とはいえ個人でできる対策には限界があるため、近隣住民どうしで助け合って備えることが重要です。その一つの形が「自主防災会」の結成といえるでしょう。

自主防災会とはどんな組織か

自主防災会とは

自主防災会とは、住民が地域ごとに団結して自主的に防災活動を行う組織です。大規模な災害は消防署だけで対応ができない場合があるため、住民同士が協力して救援活動に取り組むことが重要となります。

自主防災会の主な活動

自主防災会が行う主な活動は、以下のようなものになります。

  • 防災訓練
  • 防災に関する研修会
  • AED操作講習会
  • 防災倉庫の点検・管理
  • 備蓄用食料・飲料の発注・管理

自主防災会の班編成

自主防災会で実際に活動を行う際は、次の5つの班に編成されるのが一般的です。

・情報班
住民に必要な情報を収集して伝える。

・消火班
消火器などによる消火活動を行う。

・避難誘導班
住民を安全に避難誘導させる。

・救出救護班
負傷者の救出や救護を行う。

・給水給食班
避難所で給水や給食の配給を行う。

基本的には地震を想定した班編成ですが、消火班以外は台風災害時にも適用することが可能です。例えば河川の決壊などで浸水が予想される場合、住民に迅速に情報を伝え、避難所に誘導するほか、夜間で外へ出るのが危険と判断される場合は一時的に上層階へ避難させるなどの活動を行うことができます。