タイムズ・ハイヤー・エデュケーションが「アジア大学ランキング」 を発表し、日本からトップ30に3校がランクインした。東京大学は昨年から1つ順位を落とし8位、東北大学が4つ順位を落とし30位。大阪大学は4つ順位を上げ28位となった。

首位はシンガポール国立大学が維持したが、2位と3位は清華大学と北京大学が入れ替わり、香港大学を筆頭とする香港勢が順位を上げた。

ランキングはアジア圏25カ国・地域の大学359校の「論文の引用数」「産業収入」「国際的な展望」「研究力」「教育力」を総合的に評価したもの。

アジアのトップ大学30校とスコア

30位(昨年順位26位) 東北大学(日本) 49.6
29位(27位) インド理科大学院(インド) 49.7
28位(32位) 大阪大学(日本) 51.4
27位(21位) ヘブライ大学(イスラエル) 52.6
26位(24位) 国立台湾大学(台湾) 52.8
25位(22位) テルアビブ大学(イスラエル) 53.9
24位(20位) 高麗大学校(韓国) 54.5
23位(23位) キング・アブドゥルアズィーズ大学(サウジアラビア) 55.0 
22位(初登場) 蔚山科学技術大学校(韓国) 55.4
21位(29位) 延世大学校ソウル校(韓国) 56.1

20位(18位) 上海交通大学(中国) 56.1
19位(17位) 香港理工大学(香港) 56.3
18位(19位) 浙江大学(中国) 56.8
17位(25位) 南京大学(中国) 57.7
16位(16位) 復旦大学(中国) 59.8
15位(15位) 中国科学技術大学(中国) 61.2
14位(12位) 香港城市大学(香港) 63.3
13位(13位) 成均館大学校(韓国) 63.4
12位(10位) 浦項工科大学校(韓国) 63.7
11位(14位) 京都大学(日本) 64.8

10位(8位) KAIST(韓国) 65.4
9位(9位) ソウル大学校(韓国) 66.3
8位(7位) 東京大学(日本) 69.1
7位(10位) 香港中文大学(香港) 70.5
5位(4位) 南洋理工大学(シンガポール) 74.8
5位(6位) 香港科技大学(香港)  74.8
4位(5位) 香港大学(香港)  75.4
3位(2位) 北京大学(中国) 79.1
2位(3位) 清華大学(中国) 79.3
1位(1位) シンガポール国立大学(シンガポール) 81.7

日本の最大の弱点は国際性の弱さ?香港の2分の1以下の水準

日本からは合計89校がランクイン。トップの東京大学の総合スコアは69.1ポイント。研究(82.1pt)と教育(75.9pt)はレベルが高いが、他国・地域の大学と比べて国際性(32.2pt)が驚くほど低い。国際力の弱さは日本の大学に共通する弱点のようで、この項目で最高スコアだった筑波大学(アジア・ランキング63位)ですら39.9ポイントしか獲得していない。

京都大学の最大強みは産業収入で、93.8ポイントという極めて高いスコアを得ているが、国際性の低さ(28.8pt)が足かせとなった。論文の引用数(50.9pt)もふるっているとはいい難い。

トップ30入りを果たしただけではなく東北大学を追い抜かした大阪大学は、やはり産業収入が強い(81.3pt)。論文の引用数(38.7pt)と国際性(33.5)を伸ばすことで、さらなるランクアップが狙えるかも知れない。東北大学もやはり国際性(34.7pt)が最大の苦手分野のようだ。

ほかには東京工業大学(33位)、名古屋大学(35位)、九州大学(48位)、北海道大学(55位)、東京医科歯科大学(60位)、筑波大学(63位)、藤田保健衛生大学(83位)がトップ100入りを果たした。

中国は産業収入が強く国際性が弱い、香港は国際性は強いが産業収入が弱い?

中国からは合計63校、香港からは6校がランクイン。数の多さでは中国が圧倒的だが、トップ10を見ると北京大学が順位を下げたのに対し、香港の大学3校は順位を上げている。

中国の大学も日本同様、産業収入は強いが国際性の弱さがスコアを下げている。例えば北京大学は産業収入で最高評価(100pt)を得ているにも関わらず、国際性はその半分(53.0pt)とアンバランスさが目立つ。

大きく順位を上げたのは南京大学。産業収入(77.8pt)と論文の引用数(64.9pt)で8ランクアップの快挙となった。

香港の大学は総体的に国際性が豊かだが、産業収入は弱いようだ。国際性は99.5ポイントを獲得した香港大学を筆頭にいずれも80ポイント前後を誇るが、産業収入では最高スコアを獲得した香港城市大学ですら65.9ポイントしか得ていない。

大統領、首相、ハリウッド女優を輩出したヘブライ大学

シンガポールでランクインした大学は2校のみだが、両校ともにトップ5入りしている。韓国の大学は27校中、2校がトップ10、7校がトップ30に。KAISTと浦項工科大学校は順位を下げたが、延世大学校ソウル校は8ランクアップ。蔚山科学技術大学校は初登場となった。

延世大学校の特徴は、産業収入が99.2ポイントとずば抜けて高いこと。初登場で22位となった蔚山科学技術大学校は蔚山広域市の国立大学。2009年設立と非常に歴史は浅いものの、論文の引用数では95.9ポイントと他校を寄せつけない強さを誇示している。

イスラエルからは6校がランクイン。3ランクダウンしたテルアビブ大学に代わり、ヘブライ大学が6ランクアップした。ヘブライ大学は設立100年というエルサレムの国立学校で、無料の「お試し入学オンラインコース」を提供するなど、先進的な教育スタイルを採用している。またルーベン・リブリン氏を含む4人の大統領、3人の首相、ハリウッド女優のナタリー・ポートマン氏の母校としても知られる。来年あたり両校の順位が入れ替わることも予想される。

文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)/ZUU online

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