人生の3大出費にも数えられる住宅の購入費。よほど資金に余裕がない限りは住宅ローンを組んで購入するのが通常だ。中古住宅は程度の良いものさえ見つけることができれば、割安で良い物件を見つけることもできるので人気が高まっている。

住宅ローン控除は中古住宅を購入するのであればぜひとも利用したい制度の1つだが、控除を受けるにはさまざまな条件をクリアしなくてはいけない。

ここでは国など行政のWebサイトを見てもいまひとつ要領を得ないという人のために、中古住宅を購入した際の住宅ローン控除について解説する。

中古住宅購入で「住宅ローン減税制度」を活用する

国内の景気が一向に回復の兆しを見せないにもかかわらず、2014年4月、消費税が5%から8%に引き上げられてしまった。「住宅ローン減税制度」は増税によって国民の生活がますます苦しくなってしまうことを懸念した政府が増税に伴う経過措置として設けた制度である。

「住宅ローン控除」はこの「住宅ローン減税制度」の1つであり、一定条件をクリアした住宅をローンで購入した場合、所得税から一定額を控除することができるというものだ。

控除額はローン残高の1%。非常に微々たる数字に見えるかもしれないが、人生で一番高い買い物と言われている住宅は、たとえ中古であっても都心で購入すれば数千万はくだらない。3,000万円のローン残高であれば30万円の控除が受けられるのだ。これは軽視できる金額ではないだろう。

中古住宅を購入したあとにリフォームをする人もいるだろう。リフォームの場合でも一定条件をクリアすることで住宅ローン控除の対象となる。これらの制度を上手く活用していくことで大きな節税効果を生み出すことができるのだ。利用しない手はない。

住宅ローン控除とは

住宅ローンを組んで家を取得した場合、一定条件を満たすことで10年間にわたり毎年ローン残高の1%を所得税から控除することができる制度。控除を受けるためには翌年に確定申告する必要がある。

サラリーマンやOL、パート、アルバイトなどの給与所得者であっても確定申告は必須だ。なぜなら、住宅ローン控除の申請は年末調整では処理できないためだ。控除を受けられる条件で住宅ローンを組んだら確定申告をすると考えておいたほうが良いだろう。

控除を受ける条件

ここからは少々複雑になるが住宅ローン控除を受けるための条件を解説しよう。まず、前提として住宅ローン控除を受けるためには新築、中古共通の条件がある。この共通条件に続けて新築住宅の場合、中古住宅の場合に条件が分かれていく。今回は中古住宅の住宅ローン控除に焦点を当てているため、固有条件は中古住宅に絞って説明していく。

新築住宅と中古住宅の共通条件

住宅ローン控除を受けるための共通条件は以下のとおりだ。

  • 床面積が50平方メートル以上であること
  • 自分が居住する住宅であること
  • 新築または中古住宅取得の日から6カ月以内に居住し、その年の12月31日まで継続して居住すること
  • 借入期間を10年以上の住宅ローンであること
  • 年収が3,000万円以下であること

中古住宅の固有条件

購入したのが中古住宅の場合は以下の2つをクリアする必要がある。

(1)築年数が以下の規定の年数以内であること

  • 鉄筋コンクリートなどで建てられた「耐火建築物」の場合:築25年以内
  • 木造などで建てられた「耐火建築物以外」の場合:築20年以内 (2)耐震レベルが以下の基準をクリアしていること
  • 耐震基準適合証明書を取得する
  • 住宅性能評価書(耐震等級1以上)を取得する
  • 既存住宅売買瑕疵保険に加入する

住宅ローン控除額の計算方法

住宅ローン控除額を計算するには年末時点でのローン残高に1%を掛ければ良い。

(住宅ローン控除額)=(12月31日時点でのローン残高)×1%

年末の時点で住宅ローン残高が2,000万円だとすると、

2,000万円 × 1% = 20万円

となり20万円が所得税から控除されることになる。

住宅ローン控除の限度額

住宅ローン控除の限度額は40万円になっている。つまり、10年間最大控除額を受ければ400万円の控除となるわけだ。これは非常に大きい金額だろう。

控除しきれなかった場合

住宅ローン控除額が所得税を上回ってしまった場合はどうなるのか。この場合、控除しきれなかった額が出てきてしまい、住宅ローン控除の恩恵をすべて受けきれないことになる。それでは不公平なので、次の年の住民税から控除するという制度がある。

たとえば、年収400万円の人が支払う所得税は概算すると年間で10万円程度だ。1,000万円以上の住宅ローンを組んでいれば、控除しきれないことが分かるだろう。多くの人が利用する可能性がある制度ということになる。

この個人住民税からの控除にも上限がある。現在の税率だと最高で年間13万6,500円が控除限界だ。住宅ローンを組むときには、いくらのローンを組めば一番恩恵を受けられるかの参考になるはずだ。

ちなみに、個人住民税控除を利用するために市区町村に特別な申告をする必要はない。確定申告の添付資料の見直しや給与支払報告書の改正によって、市区町村の方で把握できるようになったためだ。