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2019/08/31

わずか10年で高級時計の頂点に。「リシャール・ミル」に学ぶコンセプト設計の大切さ

(写真=andersphoto/Shutterstock.com)
(写真=andersphoto/Shutterstock.com)
ロレックス、オメガ、IWC、タグ・ホイヤーなど、スイス製の高級時計はその「手工芸」「職人技」や「精巧な機械式ムーブメント」のイメージがあり、世界中の裕福層に愛用されています。これらの企業は長年の歴史を持つものが多いのですが、近年わずか10年ほどで価格や人気において高級時計の頂点に立ったブランドがあります。

「F1世界モータースポーツ選手権や航空宇宙産業において使用される最新技術や素材を厳選し、完璧さを追求した唯一無二の製品」を訴求点に熱心なファン層を獲得したリシャール・ミルです。

同社は自前の工場を持たず、信頼できるパートナーに開発と製造を委託する一方、「過酷で極限の環境にも耐える素材と設計」のコンセプトの下、身体に装着した腕時計がまるでフォーミュラカーや宇宙船を凝縮した存在に思えるようなマーケティングを行い、大成功をおさめています。

そこには、創業者リシャール・ミル氏の絶妙な「コンセプト作り」の技が隠されています。商品のクオリティは勿論ですが、コンセプトを売る熟練の技にビジネスパーソンが学ぶことが多いのではないでしょうか。

ライバルの「敵失」をチャンスに

リシャール・ミルは具体的にどのような工夫をこらして自社ブランドを、既存ブランドに伍する存在に育て上げたのでしょうか。第1の背景として、大手の既存ブランドが利潤を上げるために、手作業による少量生産体制から、大量生産の工業化へと舵を切った「敵失」が、手作業と素材にこだわるリシャール・ミルの希少性と評価を高めたことが挙げられます。

大手ブランドの「時計製造労働者」とは違い、リシャール・ミルには「時計職人」が残っています。同社工場には、大手時計企業が隠したがるロボットはおらず、加工が難しい素材を職人が時間と手間をかけて「手工芸品」に仕上げているのです。

そのため、ほとんどの製品は数百万円から一千万円以上と高額であり、全て限定品で、入手が困難です。リシャール・ミルは妥協を重ねたライバルとの差別化を図り、「21世紀の職人技」という新しいコンセプトを創造することに成功したのです。

また、リシャール・ミルは、レ・ブルルーの村に拠点を構える職人集団のオロメトリー社とモントル・ヴァルジン社に開発や生産を委託して、自社は「コンセプト作り」のみに徹していることが、人気を高めています。職人技は伝統職人に任せているところが、信頼を勝ち取るからです。
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