知識ゼロでもマンション経営をはじめることは不可能ではありません。しかしながらオーナーの中には管理会社に委託しないなど、失敗につながるような選択をする人もいないわけではありません。例えば管理会社への支払いを嫌がったり、安さにつられて質の悪いマンションを購入したりすることでトラブルに見舞われるケースもあるのです。そこで本稿では、管理会社への費用などお金の使い方や、長期保持の価値やリスクヘッジなど、大家としての心構えについて説明します。

基本は「丸投げ」でも

マンション経営は物件を購入後、後は管理会社に任せてしまっても問題ありません。きちんとした管理会社であれば物件の維持管理から家賃回収、場合によっては居住者のトラブルまで処理してくれます。もちろん不動産について勉強をすればするほどその奥深さがわかるため、不動産について学ぶのは良いことです。

とくに税金関係について学んでおくとさまざまな面で恩恵を受けやすくなるでしょう。一方で、世の中には何事につけても全部自分でやりたいという人や、大儲けをしたいと考えている人は一定数存在しています。しかしマンション経営においてはときにリスクを負いかねないため注意が必要です。

マンション経営失敗の典型例

では、マンション経営においての失敗にはどのようなものがあるでしょうか。以下に典型例を挙げてみましょう。

極限まで経費を削ると……

余分な経費を抑えることは事業者として正しい判断です。自分の方針と関わりのない不動産投資に手を出したり、毎日のように物件を見て回ったりしても得られるものはそれほど多くはないでしょう。特に自分の物件なのだから、経費削減も兼ねて物件の維持管理をしたいという人は要注意です。例えば騒音トラブルや未払いの家賃回収などは、プロの力を借りずに自力だけで解決しようとすると思わぬ火種となってしまうこともあります。

初心者が売却を考えた結果

そもそも不動産投資はローリスク・ロングリターンであり、とくに良質な物件で利回りが低いものほどリスクが低くなるものです。しかしそれはあくまでも長期的な保有が前提です。不動産を購入するにあたり、短期的な視点で売却を考える人もいます。

不動産投資は地価の高騰などに伴い、高値で売却できる可能性もないわけではありませんが、そもそも新築物件を購入したら、その瞬間から物件は中古となります。中古物件は当然ながら中古の価格です。これが理解できておらず、バブル期のように所有していれば高値で売れると考えてしまうと大きな損失を被ることになりかねません。

安ければ安いほどいいと思い込む

物件を購入する際、安ければ安いほどいいという基準を持っている人もいます。安いものを購入して、高い利回りで貸し付けたり、もしくは高値で売却したりすることを狙う、ある意味、一攫千金を夢見る山っ気のある人だと言えます。

最近ではボロボロの物件を購入してリノベーションを施し、売却を狙う人もいますが、これはプロの不動産業者でも難しい業務です。当初の想定よりも遥かに費用がかかることもあれば、せっかくリノベーションを施したにも関わらず、ほとんど顧客が寄り付かないケースも少なくないためです。