愛煙家にとって気になるのが健康問題だ。たしかに周りを見るとタバコを吸ってる光景が少なくなってきたようにも思う。愛煙家にとっては悩ましい問題なのがタバコと健康の問題だ。特にタバコと肺ガンとの因果関係だ。なぜ喫煙率が下がっているのに肺がんが増えているのはどうしてかという指摘もある。

喫煙者は減っている

JT全国喫煙者率調査によれば1965(昭和40)年以降のピーク時の83.7%(1966年)と比較すると、2014年全国たばこ喫煙者率は男性の平均喫煙率は30.3%だそうだ。

48年間で53ポイントも愛煙家が減少した事になるが、年代別にみると急激な喫煙率の減少傾向が見られるのは60歳以上だと21.1%。これはピーク時(66年)よりも57ポイントも減少したことになる。ちなみに2014年の喫煙率が一番高い年代は40歳代で38.5%となっている。

成人男性の喫煙率は減少傾向にあることは数字でも分かるが、それでも約1500万人が喫煙していると推定される。

成人女性の平均喫煙率は9.8%だそうだが66年より漸減してはいるが、ほぼ横ばい状況で喫煙率が一番高い年代は40歳代の14.8%で最低は60歳以上の6.3%となっている(日本専売公社、日本たばこ産業株式会社による調査より)。

動物実験では喫煙や受動喫煙の害の証明とはならない

そこでこの問題を解明する手がかりとなるのが1981年に発表された「平山論文」だ。これは40歳以上の非喫煙者の妻と喫煙者の夫9万1540組を16年間追跡調査したもので、夫の喫煙が多いほど妻の肺がんによる死亡率が高くなるとする内容だ。

しかし葦原祐樹氏(医学博士)が言うには、疫学調査では受動喫煙者のガン死亡率が非喫煙者より高いとしてもそれだけでは判断できないとし、喫煙者家庭に共通した喫煙以外の生活様式や環境の影響である可能性も残ると疑問を呈している。

博士に言わせれば、「もともと疫学調査は何に研究費を投じるべきかを判断する予備調査にすぎない」とし、「これをいくら繰り返しても、受動喫煙と健康の因果関係は証明できません」と述べている事は注目されるだろう。

それに、たばこには発ガン性物質は確かに含まれるし動物実験では高確率でがんが発生することは分かっている。しかし実験の方法に問題があるのではと言う事だ。動物実験では、たばこの発がん性物質を実際の喫煙や受動喫煙で摂取する量とは比較にならないほど大量に投与して行っているからだ。

これでは喫煙や受動喫煙の害を証明したことにはならないし、疫学調査と動物実験が延々と繰り返されているということなので、たばこが有害だという事を証明する研究としては成果が望めないということの裏返しなのではと警鐘を鳴らしている。