フランスはおそらく東アジア以外の地域で最も日本のアニメを評価している国だ。否、もしかしたら日本の次にアニメファンが多いとさえいえるかもしれない。

日本のアニメの人気はインターネットの普及に呼応して徐々に世界中に広がっているが、フランスでは早くも80年代前後から日本アニメの流行がはじまっており、今でもヨーロッパではフランスの日本びいきは群を抜いている。

とはいえ、やはりフランスはあくまでヨーロッパの国。フランス人が一般的に日本人と同じあるいは類似した感性を持っているとは限らない。また翻訳にかかる時間などの製作上の都合によって、同時期で何が人気になるかは異なる。

よって当然フランスで人気の日本アニメは日本で人気のアニメとは違うのだが、その違いを比較してみることでフランス人が日本のアニメに何を求めているのかを探ってみたい。英国在住のライターによる分析。

ネット上のランキングでは?

あるフランスのWebサイトウェブサイトによると、今フランス語圏で最も人気のある日本のアニメトップ100の頂点にあるのは「新世紀エヴァンゲリオン」だ。第2位は「天元突破グレンラガン」、第3位は「STEINS;GATEシュタインズ・ゲート」となっている。

日本人による日本アニメの評価としては、Google検索最上位のWebサイトのランキングによれば第1位は「コードギアス反逆のルルーシュ」、第2位は「銀河英雄伝説」、第3位は「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」で、フランス語圏でトップ3のものはシュタインズ・ゲートが第5位、エヴァンゲリオンは第10位、グレンラガンは第26位となっている。

こうしてみると、フランスで特に評価されているアニメが日本ではまったく人気がないというほどの違いはない。フランスのトップ3は日本でもある程度評価されているものばかりで、すべて日本のランキングでもトップ30位以内に入っている。

ただ日仏のアニメ観の違いという視点で見たとき、最も眼につくのは「グレンラガン」の評価の差異であろう。

日本でも高評価を受けてはいるが他の名作を圧倒するほど評価されているわけではない「グレンラガン」が、フランスでは最高評価の「エヴァンゲリオン」の次に評価されており、アニメファンであれば誰もが知る名作とされているのだ。実際筆者の知るフランス人の間でもグレンラガンの知名度は高い。

従って、ここではトップのエヴァンゲリオンや日本でも高い評価を受けているシュタインズ・ゲートではなく、グレンラガンに焦点をあてることでフランス人にとっての“animation japonaise ”(日本アニメ)が何であるかを探ることにしたい。