引っ越ししたら「住民票の変更届」を忘れずに行う人は多いですが、1年の途中で住所が変わったら、住民税はどこに支払うのだろう?と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。「引っ越ししたのだから新しい住所地でしょ?」と思いがちですが、引っ越ししても旧住所地に納税することもあるのです。今回は、引っ越し後の納税地や、支払い方法などについて紹介します。

住民税の基準日は1月1日

住民税をどこに納税するかは、基準日となる1月1日時点で、どこに住所があるかで判断されます。そのため、引っ越しをしたタイミングが1月2日以降なのかどうかが、納税地の分岐点です。

引っ越し後でも旧住所に税金を納める

1月1日が住民税の基準日ということは、前述で紹介しました。つまり、1月2日に引っ越した人は、1月1日時点では旧住所となるため、住民税は旧住所地へ納税することになります。

転出先の住所地ではなく、引っ越し前の住所地となりますので注意しておきましょう。また、3月、4月などの年度の切り替え時期で、納税地が変わると誤解している人も少なくありません。あくまでも基準日は1月1日です。

意外と間違えやすいので不安な人は、転出届を提出する際に確認するとよいかもしれませんね。

住民税を支払うタイミング

次に、引っ越し後の新住所地で住民税を支払うのはいつからなのか確認しましょう。

1月1日の住所

住民税の納税先は、1月1日(基準日)時点の住所で判断します。住民税額は、前年度(1月1日から12月31日まで)の所得額によって算出されるので、会社員なら年末調整で、自営業や個人事業主なら確定申告で所得額が決まり、申告内容に基づいて税額が決定されます。

新住所は次年度から

1月2日以降の引っ越しで住所変更をした場合、引っ越し先の住所地で納税するのは、次年度からになります。引っ越しした年の1月1日から12月31日までの所得申告に基づき、引っ越しした年の翌年から新住所地に納税します。

支払い方法は2種類

(写真=PIXTA)

住民税の納税には、普通徴収と特別徴収の2つの方法があります。それぞれの違いについて解説します。

普通徴収で支払う

普通徴収は、自分が直接納付書で納める方法です。個人事業主やフリーランスの方などが多いでしょう。原則的には、6月、8月、10月、1月の年4期に分割して納めますが、年額を一度に支払ったり、2回分をまとめて支払ったりすることも可能です。

住民税の1期は6月なのですが、このころは自動車税なども重なりやすく出費が続きますので、あらかじめ納税に備えておきたいですね。

特別徴収で支払う

特別徴収は、給与から毎月天引きされる方法なので主に会社員が該当します。年額を12分割して支払うため、なんとなくイメージとしては普通徴収よりも負担が抑えられる感じがありますが、年額としては同じで、普通徴収では4分割のところを特別徴収では12分割で支払います。

特別徴収の場合は、会社がいったん社員から住民税分を預かり、会社から各住所地へ支払います。給与天引きされる特別徴収の場合は、あらかじめ差し引かれて給与が振り込まれるため、自ら納付書で支払うよりも住民税の負担を感じにくいかもしれません。また、自分がどこの住所地に納税しているかはわかりづらいですね。

会社に在職しているときは特別徴収ですが、年度の途中で退職した場合は、残りの納めるべき住民税を一括で納めるか、普通徴収で納めるか選択することになります。年度途中の退職であっても、タイミングによっては、普通徴収に変更できないケースもありますので注意しましょう。