サイバー犯罪の被害にあうのは現金や仮想通貨、個人情報だけではない。各種「ポイント」を標的にした、新手のサイバー犯罪が急増中で、ポイントをロンダリングする業者まで存在するという。

世界中に眠る膨大なポイントを仮想通貨に見たて、多くの消費者が「オンラインショッピングでは、同じIDやパスワードを使い回ししている」という盲点をついた、単純だが効率的な犯罪である。

ビットコインを盗むよりも荒稼ぎできる?

犯罪の手口は実に簡潔。犯罪者はポイント発行企業あるいは顧客の情報をハッキングしてIDやパスワードを入手する。

その後、被害者になりすまして直接ポイントを利用するというケースも多いが、複数の犠牲者のポイントを根こそぎ一つの偽造口座に移動させ、一度に換金、あるいは高額商品と交換するために「貯蓄」する場合もあるという。

出所隠しの目的で、ポイントを口座から口座へと移しかえて洗浄する組織の存在も報告されており、今後大掛かりな組織として巨大化していく可能性が懸念されている。

世界各国のポイント発光企業が顧客獲得の最上手段として利用しているポイント市場は、「たかがポイント」という域を超え、実際の商品やサービス市場に勝るとも劣らぬ大盛況ぶりだ。

あくまで商品やサービスの購買に付加するシステムであるため、正確な数字は各統計によって大差がある。しかし英テレグラフ紙のデータによると、例えば1,900万人の加入者を誇る英最大のポイントプログラム「ネクター(Nectar)」では、平均一人あたり22.33ポンド(約2,960円)相当のポイントを保有しており、総額は4億2,400万(約560億7,731万円)ポンドにものぼる。

英国だけでも主要なポイントプログラムが40以上あると考えれば、犯罪組織にとってビットコインを含む仮想通貨を狙うよりも、簡単に大儲けができる潜在性を秘めているわけだ。