イベントのたびに発行される記念硬貨だが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックでも銀貨が発行されるという。第一弾となるのは、ブラジル・リオデジャネイロからの開催地引き継ぎをテーマにした1000円銀貨だ。リオ大会閉幕前後にデザインを決め、年内にも発行するという。1964年に開催された東京オリンピックでも同じように記念硬貨が発行され、50年後の現在、驚くべき価値をつけている。他の記念硬貨とも比較しながら、見ていこう。

発売直後にプレミアが付くケースも……1964年の記念硬貨

1964年の東京オリンピック記念硬貨は、1000円銀貨が約1500万枚、100円銀貨が約8000万枚発行された。高度成長期を反映し、また広く国民に浸透するよう、その発行量は多かった。金融機関の窓口で両替してもらったその足で、プレミアム付きで販売する人も多数いたというほど人気があった。特に1000円銀貨は約10年後に2万円を超える価格がつくこともあったという。

1000円銀貨のデザインは、表には富士山と桜があしらわれ、裏は桜と五輪マークの図柄というものだ。直径は35ミリ、重さは20グラムある。記念硬貨の90%以上が銀で、残りには銅が使われている。

こうした記念硬貨は、1000円硬貨なら1000円と、額面通りの価値ある通貨として使用できる。ただ、せっかくプレミアムのついた硬貨を普通のお金として使うのは、もったいない話とも言える。

価格の差は保存状態の差、4倍の価格になることも

発行から50年近くが経った東京オリンピックの記念硬貨は、現在どのくらいの価格で取引されているのだろうか。1000円銀貨の値段をアマゾンで調べてみると、3000円台のものが多くを占めている。オークファン <3674> が運営している、ネットオークションの相場や価格比較などを見ると、平均的な相場は2500円程度のようだ。

記念硬貨の価値を高めたいなら、単に保存状態を保つだけではなく、少々手間を掛けてでも「スラブ」と呼ばれる「第三者鑑定機関による鑑定保護ケース」に収めておくことが最も着実な方法だ。

同じ記念硬貨のはずが、1万円を超える価格が付いているものも目につく。高額の評価が付いている硬貨に共通するのが、「PCGS MS66」や「円形保存用カプセル入り・グレードVF」といった注釈が付いていることだ。これらは、第三者機関による鑑定結果だ。たとえば前者は、業界第2位の鑑定会社であるPCGSが「傷が極めて少なく、原色の光沢を保った未流通コイン」との鑑定を下していることを指す。