大麻解禁の流れが進む米国で、食材としての大麻(ヘンプ、麻)にも注目が集まっている。健康食材としてのヘンプシードオイル、ヘンプナッツ、ヘンプミルクなど日本でも合法的に流通されるヘンプ食品について紹介する。

大麻というと違法なイメージが……

米国で健康にいいスーパーフードとして注目を浴びているのがヘンプ=麻だ。麻とはすなわち大麻のこと。米国では大麻解禁の流れが急速に進む中、食材としての麻も脚光を浴びている。

大麻というとどうしても「違法」という連想が働いてしまうが、七味唐辛子に入っている麻の実は大麻の種に他ならず、実は日本人にとっては縄文の昔からなじんできた食材。日本では麻の実や茎の使用は合法であり、特に実は食用に適しているため多様に利用されてきた歴史がある。

一方、米国では近年、ヘンプは健康食材としてとらえられており、麻の実をオイルにしたり、粉末にしてさまざまな食材に混ぜたり、あるいは「ヘンプミルク」として牛乳の代替品として用いている。近年、このヘンプブームの潮流は日本にも入ってきており、さまざまな麻製品や麻の実食品が入手可能となっていることから、ココナッツオイルブームの次はヘンプオイルブームが来るともいわれている。

大麻・マリファナは「麻」の花冠や葉を乾燥、樹脂化、液体化させたもの。含まれる化学物質に薬理作用があるとされるが、ヘンプオイルは、種子から油成分のみを抽出したもので、薬理作用はないといわれている。

必須アミノ酸、必須脂肪酸を豊富に含む麻の実

麻の実にはどんな健康効果があるのだろうか。まず注目したいのは、麻の実は鉄、銅、亜鉛、マグネシウム、食物繊維を豊富に含むほか、必須アミノ酸全種類を含む良質のタンパク質を含んでいることだ。

タンパク質は20種類のアミノ酸で構成され、そのうち体内で合成できないアミノ酸は食事で補う必要があることから「必須アミノ酸」と呼ばれている。麻の実に含まれる植物性タンパク質はその必須アミノ酸をすべて含んでいるため、筋肉や新陳代謝の維持にとってプラスの働きを及ぼすといわれている。

やはり食事から摂る必要のある必須脂肪酸のオメガ3(アルファ・リノレン酸)とオメガ6(リノール酸)もバランスよく含まれており、細胞膜やホルモンの産生などに好作用を及ぼすほか、希少なGLA(ガンマ・リノレン酸)により、生体調整機能に良い働きをもたらすと考えられている。

なお中国では、腸の働きを整えて便通をスッキリさせ、体を滋養する漢方薬として麻の実を活用しており、麻の実の健康作用が古くから知られてきたことがうかがえる。