富める者を象徴する色というと「金色」を思い浮かべがちだが、欧米では「黒色」が金色を凌いでいる。

クレジットカードの世界でも、最もグレードの高いカードには黒い券面が使われているのだ。日本で「ブラックカード」として君臨するカードにはどのようなものがあるのか。またそれを手にする“選ばれし者”のみが受け得る特典とは。ここではこれらの疑問に参考となる情報を紹介しよう。

1.最高峰のブラックカード - アメックスのセンチュリオンカード

アメリカンエキスプレス、通称アメックスには、税別年会費が1万2000円のグリーン、2万9000円のゴールド、13万円のプラチナと、3種に大別できるカードがラインアップされている。そこに登場したセンチュリオンカードは、現在の税別年会費が35万円という、正真正銘の最高峰ブラックカードだ。

利用限度額が無制限というセンチュリオンカードは、アメックスからのインビテーションによってのみ取得が可能となる。アメックスのカードは一律の利用限度額を設けておらず、個別の利用実績に応じて常時変動するという特徴を持っている。決済額が多ければ自動的に利用限度額も拡大していく一方で、全く使わないでいると、プラチナカードでさえ「50万円使っただけなのに限度額オーバーになった」といったことも起こり得るのだという。要は「利用実績」こそが、ブラックカード取得への「難攻不落なハードル」なのだ。

センチュリオンカードの特典は、まさに「最高峰」の名にふさわしい。中でも端的な例を挙げるなら、ブラックカードのポイント・プログラムのメニューに「宇宙飛行」や「アルファロメオ」が並んでいることだろう。

宇宙旅行には2200万ポイントの蓄積が条件になるし、アルファロメオを手にするには500万ポイントを貯めることが必要になる。アメックスカードのポイント還元率は100円の利用につき1ポイントなのだから、2200万ポイントなら何と22億円、500万ポイントでも5億円分の利用が前提となるわけだ。

もう少し身近な特典としては、ブラックカードやプラチナカードの使用者には「プライベートな秘書」の役を果たしてくれる専任のコンシェルジュがつくことや、飛行機・ホテルのアップグレード、VIPラウンジの使用、数億円の海外旅行障害保険など、それこそ「至れり尽くせり」の多彩なサービスが用意されている。

2.外資系の双璧 - ダイナースクラブのプレミアムカード

外資系のカード会社としてアメックスと双璧をなすダイナースクラブのプレミアムカードは、比較的入手しやすいブラックカードだとも言われている。国内では、三井住友信託銀行(三井住友トラストHD <8309> )グループのSuMi TRUST CLUBが発行している。

もともと審査基準が高いことで知られているダイナースクラブだが、現在プレミアムカードの会員獲得に力を入れている様で、年会費は5万円に押さえられている。それにも拘わらず利用限度額が無制限となった上、コンシェルジュサービスや最高1億円までの旅行保険ほかの付帯保険、プレミアムカード会員だけが利用できる高級レストラン・料亭の利用、レストランを利用など、ブラックカードならではの満足感を味わうことができる。

トラベルサービスとしては、国内30ヵ所、世界120ヵ国600ヵ所以上の空港ラウンジの無料利用や、「空港送迎タクシー」サービス、手荷物の宅配サービスなども用意されている。また、提携先のレストランを優待価格で利用できたり、「一見さんお断り」といった、プレミアムカード会員だけが利用できるレストランや料亭もあったりと、ダイニングサービスにも豊富なメニューが揃っている。

プレミアムカードには通常のポイント・プログラムの他に、年間利用金額100万円ごとに1万ポイントのボーナスポイントが加算される「ボーナスポイント・プログラム」というのもある。年間300万円程度決済すれば、ポイントだけでも年会費の元が取れることになるわけだ。