子供が欲しいのに授かれないとき、私たちの前にある選択肢の一つが不妊治療です。助成金など経済的な支援策も整備され、以前よりも身近なものになってきました。しかし、だからこそ、ますます難しい決断を迫られるようになってきたといえるのではないでしょうか。

私たちはそこに進むのか、進んだとしていつやめるのか。「不妊治療に至る前」「不妊治療のその先」を含めて、妊活全般を考えてみたいと思います。

最初に「不妊」と「不妊治療」を理解しておこう

(写真=Photographee.eu/Shutterstock.com)

どのような状態を「不妊」と判断するか

「不妊」とは、妊娠適齢期にあるカップルが避妊せずに通常の性交をしていても一定期間内に妊娠しないことを指し、その状態にあることを「不妊症」といいます。

この「一定期間」は現在では、1年という見解が一般的です(世界保健機構(WHO)、アメリカ生殖医学会(ASRM)、日本産科婦人科学会など)。ただし、月経不順や量の異常、子宮の病気の既往症など治療の必要が考えられる場合は、1年を待たずに受診することが勧められています。

不妊治療の種類と進め方

不妊治療は「一般不妊治療」と「特定不妊治療」に分けられます。特定不妊治療は、女性の体の外で受精を試み受精卵を体内に戻す、さらに進んだステージの医療です。

一般不妊治療

タイミング法:排卵のタイミングを見計らって性交する
排卵誘発法(ホルモン療法):内服薬や注射で卵巣を刺激して排卵を起こさせる
人工授精:採取した精液の中から精子を選び出し、妊娠しやすい期間に子宮内に注入する

特定不妊治療

体外受精:男性から採取した精子を女性から採取した卵子の入った培養液に加え、受精を待つ
顕微授精:細いガラス針の先端に入れた1個の精子を、顕微鏡で確認しながら卵子に直接注入して受精させる

一般的には生殖器やホルモン値などの検査を行いながら治療をスタートさせ、タイミング法から徐々にステップアップしていく形で進みます。

「不妊治療未満」の妊活

(写真=RossHelen/Shutterstock.com)
私たちが本格的な不妊治療を始める前にまず自力で対処できることといったら、どんなことがあるのでしょうか。筆者は「自分の体をよく知ること」からだと思います。
不妊治療は、子宮や卵巣、ホルモン値の検査から始めます。まずは自分の体の状態をチェックし、知ることから始めてみましょう。基礎体温を測っていないのなら、今日からでも始められます。管理しやすいアプリもさまざま出ていて、無料でダウンロードできます。
妊活サプリや健康食品など代替医療も試してみたくなりますが、効果のほどは分からないもの。それよりも、規則正しい生活をしたり偏らない食事を取ったり、適度な運動やストレス解消など、普段からできることもたくさんあります。煙草を控えることや食生活の改善で、男性不妊を起こす精子の状態が回復したという例もあります。