スマホやタブレットから、パソコンやインターネット、あるいはデジタル家電まで、ITに触れない日は今や、ないと言っていいくらいだ。ビジネスの現場から、CGアニメの制作などさまざまな場面にももちろん、浸透している。

それだけ、ITの重要性が社会でも高まったと言えるだろう。また、先端的な技術である人工知能(AI)やロボットにも不可欠でもあり、ITの活用にますます期待がかかる。

ただ、プログラミングできる人材が当然、必要とされている一方で、IT人材の不足もかねてから指摘されている。そうした背景もあるのか、政府はプログラミング学習を小中学校で2020年から段階的に必須科目にする構えだ。

同政策には、付加価値の高い人材を増やす狙いもると言われており、経済の成長にも結び付く可能性もある。そこで今回は政府も後押しする、ロボットやAIが当たり前となる社会の実現にも必要な、プログラミング教育の動きを紹介する。

政府が「プログラミング」の必修科目化を推進

政府は4月19日に開いた産業競争力会議で、小中高校でプログラミング教育を必修化する考えを示した。飛躍的に進化していくコンピュータや、AI・ロボットといったITが重要になる分野が注目されており、コンピュータを制御する能力の育成が重要視されだしたからだとみられている。

実際、今では「コンピュータが停止したら、世界が死滅する」とまで言われることもあるほどだ。すべてのコンピュータを動かすためにはソフトウェアを作らなければならず、当然にプログラミングできる人が必要ということだ。

19日の産業競争力会議で、安部首相は「日本の若者には、第4次産業革命の時代を生き抜き、主導していってほしい。初等、中等教育からプログラミング教育を必修化する」と明言した。文部科学省も小学校でのプログラミングの必修化を検討すると発表。2020年度の新学習指導要領に盛り込んでいく方針で、IoTやインダストリー4.0といった構造的な変化を起こしそうな動きもにらみつつ、教育制度の改変を図る構えだ。

また同省は、小学校でのプログラミング教育についての有識者会議の立ち上げも準備。現在では、理科や算数といった今ある教科の中に盛り込む案が有力とされる中で、プログラミング教育をどう位置づけるか話し合うとみられる。

繰り返されてきた「プログラミングの大切さ」への指摘

プログラミングを学ぶ教育の必要性については、国内外に限らず指摘する人が出てきている。日本ではDeNA <2432> 創業者の南場智子氏が学校教育での必要性について話し、「マーク・ザッカーバーグのような起業家を誕生させたい」などとしている。

また、楽天 <4755> の三木谷浩史氏は、「日本史より、プログラミングを教えるべき」と、日本の経済や社会問題をテーマにしたトークセッションで、プログラミング教育の大切さを指摘している。

太平洋を越えた先、アメリカでも著名人がプログラムの重要性を指摘。現職のバラク・オバマ大統領も公開した動画で、最先端の国であり続けるためには、生活を変えてくれるようなツールや技術を習得した若い人の必要性を強調。Appleの元CEOのスティーブ・ジョブズ氏もプログラミングは一般教養として必要、思考プロセスを知り、考える方法を知ることが大切と話していたとされる。

アメリカでもエンジニア不足は深刻で2020年までに「約120万人のエンジニアが不足する」と言われている。世界中でプログラマの求人数は増加しているにもかかわらず、学校ではほとんどプログラミングを教えていない。課題は山積みなのである。