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2019/03/12

オーストラリアでタバコ1箱が3200円になった背景

(写真=Jamesboy Nuchaikong/Shutterstock.com)
(写真=Jamesboy Nuchaikong/Shutterstock.com)
私達は何の為に働いているのだろうか。大切な家族を養う為、家のローンを払う為など様々である。しかし、そこに「タバコを買う為」という理由が上がってきたとしたら、それはただ事ではないように感じられる。ここはオーストラリア。タバコの値段がシャレにならなくなってきている。

既に今でも2000円くらい 豪政府「禁煙の足掛かりに」

オーストラリアでは、タバコは既に「高級嗜好品」としてのステータスが確立しつつある。それを今度は「超・高級嗜好品」に衣替えしようとしている。現在のタバコの値段は既に25本入り25ドル(約2000円)である。

豪州連邦政府が喫煙家にむちを打つように掲げたタバコ増税法案。それは2017年から2020年にかけて、毎年税率が12.5%ずつアップするというものだ。そして、2018年から2019年のミドルタームには、50豪ビリオン(約400億円)もの黒字を生み出すであろうと予測をしている。

驚異的なのはタバコに対する税率の伸び率だ。1996年から20年の間に343%増でトップ。続いて保険206%、教育183%、ガス181%、電気171%と続き、逆に大きく下がったのがコンピュータ・オーディオで▲91%である。 ではなぜ「タバコ」なのか。

豪州連邦政府の見解はこうだ。

「あくまで喫煙者の数を減らすのが目的だ。この国には2500万人の喫煙者がいて、毎年1万5000人の命が喫煙によって奪われている。また、ヘビースモーカーと呼ばれる人達は富裕層ではなく、禁煙を常習とする貧困層に多く見られる。こういった禁煙への依存から抜け出せない地域・被害者の手助けをしたい」

禁煙の足掛かりにして欲しいという、愛情の意での「救いの手増税」と言わんばかりである。愛煙家にとっては複雑な思いが交差するのかもしれないが、受け止めなければならない事実となった。

地元メディア 「タバコ増税法案はおおむね好印象」

余談だが、タンブル首相は元弁護士で裕福な家庭に育った富裕層組。一方、労働党を率いるショートン氏は母子家庭で育った庶民感覚の根付いた人物である。そんな背景もあり、労働党は一般庶民が毛嫌いする事柄を熟知している。自由党の掲げていた「GST(商品サービス税)、学校授業料、医療費を全体的に上げる」という案は国民には受け入れてもらえないことも理解している。

国民はもうこれ以上GSTを払いたくもないし、年金生活で老後を送っている人は高い医療費は払えない。子供の多い一般家庭では学校への費用負担が増えるのは恐怖であろう。子供の数だけ助成金は出るが、その金額はいくらか上がるのであろうか?

またGSTなど国民全体が負担を強いられる場所に増税が決まることは、国民への不安をリバウンドさせることにも成り兼ねない。

次回選挙に向けての票獲得を意識しているのか、否か。労働党が掲げたタバコ増税法案は、概ね国民に受け入れてもらえそうだ。なぜなら「健康を取り戻そう」というクリーンなイメージに便乗し、結局、カネに余裕のある層に税金を払っていただくということだからだ。もちろん、喫煙者の数を減らすことがもっぱらの目的ではあるのだが……。

政府としても、喫煙者の数を減らすことはWHOに基づいた「健康な国」として世界中にアピールできるとし、「肥満」が問題視されているオーストラリアに、ついに挽回のチャンスが訪れた!などと地元メディアは伝えている。
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