かつてバブル時代、女性が掲げる理想の結婚相手は3高(高身長・高学歴・高収入)と言われていたが、昨今、女性が求める結婚の条件は変わってきているのだろうか。また、共働きが増えてきている中、男性が相手に求める結婚の条件も気になるところである。男女それぞれの結婚相手に求める理想の条件を見ていきながら、結婚するとかかってくる費用を想定し、「幸せな結婚生活」を送るためには、最低限いくら年収があれば良いのかを検証していきたい。

結婚に求める条件とは

内閣府が発表している「平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書(全体版)」の結婚観についての調査結果をみると、未婚の人が結婚について「必ずした方が良い、できればした方が良い」と回答した割合は男性20代で70.9%、30代で64.5%、女性20代で68.0%、30代で55.0%と、20代・30代ともに男性が上回っており、女性の結婚観の方が低いことは意外であった。

相手に求める条件は未婚者かつ将来結婚したい20代・30代の男性では「価値観が近いこと」が一番高く、続いて「一緒にいて楽しいこと」「一緒にいて気をつかわないこと」「金銭感覚・容姿が好みであること」「恋愛感情」となっている。

同じく未婚者かつ将来結婚したい20代・30代の女性においては「一緒にいて楽しいこと・一緒にいて気をつかわないこと」に続いて、「金銭感覚」「経済力があること」「恋愛感情」となり、女性の方が結婚相手を選ぶ基準に経済的な面を求めることがうかがえる。

結婚する上での不安要素に対する調査では未婚者かつ将来結婚したい20代・30代の男性では「経済的に十分な生活ができるかどうか」が57.2%と最も高く、続いて「配偶者と心が通わなくなる・不仲になること」(52.1%)となった。未婚者かつ将来結婚したい20代・30代女性では、「配偶者と心が通わなくなる・不仲になること」(61.2%)が最も高く、続いて「配偶者の親族とのつきあい」(58.5%)であった。

男性が結婚相手に求める条件として「経済力があること」は、7.5%と低かったが、結婚後の不安要素に「経済的」な点が高くなるところをみると、共働きが増えている中、まだまだ男性が経済的に頑張らないといけないという気持ちがうかがえる。では、夫婦の年収がいくらあれば生活していけるのだろうか。

結婚生活に必要な年収は「497.9万円」?

結婚生活に必要な夫婦の年収(税込)の調査報告では「20代・30代の未婚の男女」は497.9 万円に対し「20代・30代の既婚の男女」は484.2 万円と、必要と考える年収額平均が、未婚の方が14万円ほど高い。この数字はあくまで平均であり、住んでいる地域や人それぞれ結婚生活に求める生活レベルで異なってくるが、ここでは既婚の男女が回答している484.2万円で、結婚生活を送れるのかを見てきたい。

2014年の総務省「家計調査」のデータによると勤労者世帯のうち2人以上の世帯の消費支出は1ヵ月平均約31.9万円となる。平均的に見れば、先に述べた未婚の男女が結婚生活に必要だと考える夫婦の年収「497.9万円」で足りることになる。

2016年の厚生労働省の調査によれば、男性の平均年収は約335万円、女性は約242万円となっている。つまり、結婚に必要な平均年収から見ると、男性だけの平均年収だけでは不足するため、結婚後、女性の収入も必要となってくる。

ただし平均消費支出に貯蓄は含まれておらず、また、子供の人数や進学方針、自宅を購入したいなどのライフプランによっても必要な準備資金は異なってくる。