「飲みニケーション」という言葉が死語になって久しい。それでも飲み会は職場のメンバーと仕事外で交流できるうってつけの場であることは間違いない。

飲み会で上司や部下と円滑なコミュニケーションを取ることで今後につながることが期待できるが、実は小手先のテクニックで上手くいくほど人との対話は簡単ではない。ではどのようなスキルを身につければ良いのか。

外資系企業やコンサルティング業界の飲み会で見られた、ビジネスパーソンが駆使することで盛り上がりを見せた方法5選を紹介する。

「自分が話す」のではなく「相手に語らせる」

飲み会の場を盛り上げているビジネスパーソンを観察していると、意外と「それほど喋っていない」ことが分かる。コミュニケーションに長けた人は、自分が積極的に話すのではなく相手に語らせるのが上手いのだ。

人は誰しも自分の話を聞いてほしいと考えている。しかし、実際には体系立てて面白おかしく話すことが得意な人ばかりではないし、むやみに自分の話をするのを良しとしない人もいる。だがひとりの「語らせ上手」がいることで、場の雰囲気は一気にオープンになる。

胸の内を吐き出して気持ちがすっきりすることを、心理学用語で「カタルシス効果」という。コミュニケーション能力の高い人は、意識的にせよ無意識にせよ相手のカタルシス効果を引き出すことに注力している。

結果、「彼(彼女)がいれば盛り上がる」と様々なシーンで求められる人物になり、飲み会でも仕事でも引き合いが増える。

最高のあいづちは「要約して繰り返す」

では、相手に語らせるにはどうすればよいのか。基本は「あいづち」と「質問」だ。実は、「語らせ上手」は単なる「聞き上手」ではない。相手の話を受け止めるだけでなく、相手に新たな発見や気づきをもたらし、意欲や行動を引き出す力を持つ。良質なあいづちと質問は、それらの効果が非常に高い。

ぜひ活用したいあいづちは、「要約して繰り返す」というもの。ただウンウンと人の話を聞くだけでなく、「それってつまりこういうことですよね」「なるほど要するにこういうことですね」と相手の話をまとめて確認する行為だ。これにより相手は自分の話が理解されたことに満足し、改めて頭の中を整理するきっかけにもなる。

実は、これは心理カウンセラーがクライアントの話を引き出すために活用する「傾聴」という技法に含まれるテクニックだ。「傾聴」とは、批評や議論をするのではなく受容や共感を重視して相手と話す方法である。最近ではビジネスやコーチングの分野でも注目されている。

ただ、「要約して繰り返す」と言ってもそう簡単にできるものではない。話の本質を理解する力と論点を要約する力が必要だからだ。しかしいずれもビジネスパーソンには必須のスキルなので、普段から相手の話をよく聞き要約する訓練を積んでおきたい。