TwitterやFacebookなどのSNSを中心に、ネット上のメディアで騒ぎとなる「炎上」事件が絶えない。もし「炎上」させてしまった場合、どのようなコストを背負う事になるのか、その危険性を検証してみる。

手軽に「炎上」させられる

「炎上」を簡単に説明すると、一般通念上、好ましくない行為がインターネット上のSNSでに投稿され、それが拡散して大騒ぎになり、非難や抗議の声が殺到する状況を指す。

最近ではコンビニのおでんに指を入れ売り物にならないようにした行為を動画で撮影し、それをネット上にアップしたという例がある。この場合、本人は威力業務妨害の疑いで逮捕されている。

この他にも今年だけで、熊本の震災の後、海外の映画ロケシーンの画像を「熊本の動物園からライオンが逃げた」としてアップし、こちらも威力業務妨害で逮捕されたという例などがある。どの例にも共通するのは、それほど時間や手間を掛ける事無く、あっさりと「炎上」したという点がある。

「炎上」させた者が負う責任

業務を妨害することによる威力業務妨害とあわせ、それによって生じた民事上の損害賠償責任を負わされることも少なくない。しかし注目したいのは、刑事罰による検挙は大きく報道されるのに対し、民事上の裁判はあまり表に出てこない点である。

こうして執筆のために調べていても、「炎上」して商品の破棄などの損害が発生したという有名な例でさえ、その後の経過をたどることは難しく、不透明な部分もある。いずれにしろ、その行為が多くの人の怒りを買えば買うほど、氏名、住所、勤務先、交友関係など、ありとあらゆる個人情報が暴露され、徹底的な社会的制裁が加えられる。

企業が「炎上」させるケース

個人の場合は「勤務先」を暴露され、そこに抗議の声が行くという事はかなりの制裁行為となるが、そもそも企業が「炎上」させるという例も少なくない。その場合、多くは操作ミスなどの「うっかり」により、本来社外に出てはいけない内輪の愚痴などが広く公開されてしまうなどの例がある。

またアミューズメントパークの例のように、その日が日本にとって特別な意味を持つ日だったにもかかわらず、全く意図せずにそれを「何でもない日」というように表現してしまい批判を集めるというものもある。前者の場合は愚痴などの悪意が込められているが、後者の場合は文化的な違いを理解せずに発言してしまうという理解度の低さの問題がある。

いずれの場合も、広報担当が複数の人員で企業アカウントを運用し、投稿する時点ではそれを「この発言内容は正しいのか」とチェックする仕組みがあれば、十分に防げた例と言える。