インド最大の人口密集地区、ウッタル・プラデーシュ州などの農村で行われた「デジタル簡易学級」から、興味深い発見があったことを英BBC放送が報じた。

インドの子どもの学力の低さを懸念した非営利教育団体「Pratham」が、タブレット3000台を利用した独自学習プロジェクトを実施した結果、子どもの学習意欲が向上しただけではなく、自ら「学ぶ力」を開発していったという。

即座にパスワードを解読した非デジタル地域の子どもたち

教育制度改革によって、過疎地からも通学できる子どもが大幅に増えたインド。しかし学校に通うことが、かならずしも学力に結びつくわけではない。インドの教育情報機関、ASERセンターが2014年に発表した「年次教育報告」によると、インド過疎地の6歳から8歳の子どもの3分の1が、文字の認識さえままならないという。

子どもの学力向上には周囲の大人からの十分な支援が必須となる。過疎地の親は一日の大半を労働に費やさざるを得ないため、家庭で子どもの勉強を見る時間や余裕がないというケースが多い。

プラデーシュ州の農村のひとつ、バウマウにも学校はあるものの、生徒たちの学力は極めて低い。そこでUNICEFとも提携しているPrathamのマーダヴ・チャヴァン氏とルクミニ・バネルジー氏が立ちあげたのが、「Hybrid Learning Program」と呼ばれるデジタル教育プロジェクトだ。

このプロジェクトではプラデーシュ州、ラージャスターン州、マハーラーシュトラ州の400の農村で暮らす2万6000人の子どもに3000台のタブレットを配給。インターネットには接続されていないにも関わらず、子どもたちはタブレットをとおして様々な学習法を自ら身につけていった。

各農村で子どもを5人の小グループにわけ、大人が夜間にタブレットを充電するという以外に特別なルールは設けず、子どもたちが未知のツールをどのように活用し、なにを学んでいくかという点が主な観察対象となった。

その結果、読み書きの向上に役立っただけではなく、子どもたちは英語から人体解剖学まで、実に多様な分野に興味を示したほか、大人には真似できないテクノロジーへの順応性を見せた。コンテンツへのアクセスを規制する目的で、配給当初各タブレットにはパスワードが設定されていた。しかしデジタル経験のないこれらの子どもたちが、パスワードを解除する手段をあっという間に発見したという。

好奇心のかたまりである子どもにとって、最も効率のよい学習法は「興味をかき立てること」であることを立証する例といえるだろう。

文・ZUU online 編集部/ZUU online

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