世界にはBOP層(Base Of Pyramid)と呼ばれる「貧困層」(低所得者層)が40億人いると言われている。

しかし近年、BOP層が抱える問題を最新テクノロジーを利用した解決を試みる企業や団体が増えてきている。貧困にあえぐ人々の生活は、テクノロジーの変化によって大きく変わるかもしれない。

ルワンダ共和国の空を飛ぶ配達ドローン

貧困層を多く抱える国では、国の財政基盤が非常に貧弱であり、交通インフラが十分に整っていないことが多くある。

2010年時点で国民の44.9%が貧困にあえぐアフリカのルワンダ共和国も、その一つだ。普通なら数時間程度で交通できる道でも、悪天候が続くと道路が寸断されてしまい、数日間かかることもある。緊急の手術などで医薬品を外部から取り寄せたとしても、道路の寸断により配達が遅れれば、人命にかかわる事態も考えられる。

そんな中、ドローンを用いた医療品の配送サービスを立ち上げたのが、スタートアップ企業のZiplineだ。空を飛ぶドローンであれば、道路が渋滞していようが寸断されていようが関係なく、地上100mあたりからパラシュートを使って配達物を投下し、目的の場所まで届けることができる。ルワンダ共和国保健省のアグネス・ビナグワホ博士は「これまでの配達方法に匹敵するコストで、より多くの人命を助けられる」としてドローン配達を高く評価している。

またドイツ企業のモビソル(Mobisol)も同様に、ドローンを用いた配達網の整備に取り組んでいる。同社のドローンシステムでは、3キロごとに太陽エネルギーを利用した充電ステーションを配備することで、より遠く離れた地域間での配送を可能にするもの。このシステムを用いれば、買い物のために何日もかけて中心都市まで移動する必要がなくなるのだ。

これにより、移動にかかるコストはもちろんのこと、移動にかかっていた時間を労働や他の事柄に費やすことができるため、BOP層の生活の質の向上に大きく寄与できるようになるだろう。