世界24カ国(約7000人)を対象に実施した「消費者プライバシーデータに関するグローバル意識調査2017」で、「ユーザは個人情報の提供をどこまで容認できるのか」という問いに対し、「連絡先やウェブ閲覧履歴、写真にアクセスするアプリを容認しないユーザが84%」いるという結果が出た。最近の携帯電話用のアプリでは、格納されたユーザのデータにアクセスするというものが多いが、高い警戒心を多数のユーザが持っていることを表している。

プライバシー保護に対する関心はかなり高くなっている

調査はKPMGコンサルティングが実施したもの。「プライバシーを保護するため、どのような事をしているか」という問いに対しては、「ブラウザのCookie(クッキー、ログイン情報などを保存する)を削除する」というユーザが60%いることが分かった。

Cookieはその情報を利用してターゲティング広告に使われる場合も多い。これを半数以上のユーザが削除するということは、プライバシーに対する関心の高さがうかがえる。広告という立ち位置から考えれば、「広告をブロックするソフトウェアを使っているユーザが40%近く」いるという回答結果も見逃せない。

iOSのSafariにデフォルトで広告をブロックする機能を追加された際には、インターネット広告業界に少なからず衝撃を与えたが、その後「実際に広告をブロックするソフトやアプリを使っているユーザはごく少数なので、影響はほとんどない」とする意見もあった。

しかしこのアンケートの結果では、半数近いユーザが能動的に、しかもすべての広告をブロックする設定を行っていることになり、広告効果から考えれば十分にユーザに対してリーチしていないことになる。

表示される「プライバシーポリシー」を半数以上のユーザは読まない

冒頭で紹介した「連絡先やウェブ閲覧履歴、写真にアクセスするアプリを容認しないユーザが84%」という結果について考察してみよう。

論理的に考えて、例えば地図アプリがGPS情報にアクセスするのは理にかなっているし、写真を投稿するタイプのSNSアプリが写真データにアクセスするのも別におかしい話ではない。

それはほとんどのユーザもわかっていると思われるが、問題は「ゲームアプリなのに連絡先へのアクセスを要求」したりするような不審な動きを見せるアプリに対し、正当と思われる動きを見せるアプリとあわせて一括して警戒心を抱いている……という点である。

反面、アプリをインストールする際などに必ず表示される「プライバシーポリシー」について、「全く読まないユーザが57%」いるという回答結果もある。先述の通りプライバシー保護に高い関心を持つユーザが多いにも関わらず、そのアプリが謳っているプライバシーポリシーを読んでいないユーザも多いという点は一見矛盾している。

「どのように使われるかという文面を読まないのに関心は高い」というのは、確かに矛盾しているように見える。矛盾という意味では「政府機関がテロ対策として個人データを収集するのは容認するユーザが49%」おり、プライバシー保護という観点からは違和感を覚える。しかしこれは、目的が目的だから……という部分で信託されている点もあるのではないだろうか。