UBSが1月24日、女性向けウェルスマネージメント・サービス改革を目指す5年計画を発表した。UBSは女性の投資意欲をうまく煽動しつつ女性顧客の開拓に専念することで、2兆3000億ドル(約257兆2320億円)相当の新規投資を見こんでいる。

世界の私有財産の3分の1を女性が所有 予想年間成長率は1.6%

様々な分野でミレニアル世代を次世代顧客層と見なす風潮が強まっているが、UBSはそこから一歩視野を広げ、女性をターゲットに取りこむ第一歩として、「投資は男性のもの」という固定観念を覆す試みに取りくんでいる。

女性が十分な資産力をもった顧客になり得ることはすでに立証済みだ。昨年のボストン・コンサルティング・グループの調査からも、「世界の私有財産の3分の1を女性が所有している」と報告されている。

UBSによる女性の所有資産の予想年間成長率は1.6%。今後4年間にかけて、男性の所有資産よりもはるかに急激な速度で成長すると期待されている。

経済的な観点から見ても、女性が「上得意顧客」の潜在性を秘めていることは明白だ。

多くの女性が投資に消極的 6割の女性が「知識に乏しい」

女性投資家の割合が男性と比較してはるかに低い事実が、これまで数々の調査で指摘されてきた。投資に関する男女間のスタンスの差が、この背景に深く根付いているものと思われる。

一般的に女性は投資を貯蓄と切り離して受けとめ、支出と見なす傾向が強い。多くの男性が投資を「増やせる機会=貯蓄」と見なすのに対し、「損失する可能性がある=支出」とまったく異なる観点から見る女性が多いということだ。

例えば積立金制度なども投資であるにも関わらず、加入者の男女割合は66%:73%(バンガード・グループ調査)と女性ほうが高い。これは女性にとっては「積立」という言葉が「貯蓄」を直接的に連想させ、安心感につながるためではないかといわれている。

また投資を難しい、複雑なものとしてとらえている女性も多い。バンク・オブ・アメリカの1万人を超える顧客サーベイでは、55%の女性が「投資や金融市場に関する知識は平均以下」と回答。同様の回答をした男性は2分の1だった。