人は、良いことと悪いことの区別はできるはずです。しかし、それでも程度の差こそあれ悪いことをしてしまうことがあります。実際に心理学の世界では、良いことをしたあとに「善悪の判断基準が甘くなってしまう」傾向があると言います。

そして、その傾向は多くの人が「お金持ち」になりたいと願っているにもかかわらず、お金持ちになれない一因にもなっているのです。それはどういうことでしょうか? 具体的に見ていきましょう。

頑張って節約したのに「自分へのご褒美」で失敗を

毎月の給料は全部使ってしまい、ぜんぜん貯金ができない……このままじゃダメだと思い、一念発起をして少しずつでも貯金をはじめようと決めました。

まずは、節約でムダな支出を徹底的に見直しました。

そこで1週間、自炊などをしてムダな食費をかけないように頑張ってみました。今週だけで4500円も節約することができました。この調子でいくと今月は本当に貯金ができそうです。

「こんなに頑張ったのだから、自分を誉めてあげたい」

目標をクリアしそうだし、週末は自分へのご褒美にちょっと奮発をして、焼き肉を食べに行こう。久しぶりに美味しい焼き肉を堪能しました。店員さんに会計をお願いすると「5000円になります」。あれっ? 4500円の節約成功で、自分へのご褒美の焼き肉代が5000円? 結局500円のマイナスになってしまいました。

ダイエットに失敗する人が陥りがちな罠

ダイエットでも同じです。1週間で体重を4キロ減らしました。すごいです。並大抵の努力では、1週間で4キロも減らすことはできません。

「こんなに頑張った自分を誉めてあげたい」

自分へのご褒美に、我慢していたケーキを食べよう……しかし、これが口火となって、体重が元に戻ってしまうケースも珍しくありません。

残念ながら、このようなケースでは「ケーキを食べる」ことへの罪悪感はありません。それどころか、頑張った自分に対して、誇らしいとさえ思ってしまうのです。

ここでは分かりやすい事例として、貯金とダイエットを取り上げました。しかし、私たちは日常生活で似たような「判断」を数多く繰り返しているのです。たとえば、午前中は仕事がはかどったから、午後は少しぐらい他のことをしても大丈夫だろう……そんな経験はありませんか?(※ちなみに、私はこのパターンによく陥ってしまいます)