「会社の社長」と一口に言っても、雇われ社長とオーナー社長では資産の大小に天地ほどの違いがある。雇われ社長はいくら高給をもらえるとしてもサラリーマンでしかない。しかし、オーナー社長は違う。ビジネスが拡大すれば、それだけ自社株の評価が上がり、一気に資産額を伸ばすことができる。

上場企業であればなおさらだ。今回は、必ずしも社長ではないものの、設立から50年以上経っている名門上場企業7社の創業家一族の資産額を調べてみた。なお資産額は『会社四季報2018年春号』の大株主一覧の保有額に、3月23日(金)終値をかけた概算金額であることにはご留意頂きたい。(文中、敬称略)

大林組 <1802> 大林一族:192億円

建設業界最大手の一角で1936年12月に設立された大林組 <1802> は、大林芳五郎が創業者だ。大株主一覧を見ると、現会長の大林剛郎が1,694万株(発行株数の2.3%)を保有している。同社の3月23日(金)終値が1,135円なので、約192億円が時価となる。

永谷園 <2899> 永谷一族:56億円

和風即席食品国内首位で1953年4月に設立された永谷園ホールディングス <2899> は、江戸時代から製茶業を営んでいた永谷家10代目にあたる永谷嘉男によって創業された。大株主一覧を見ると、現会長の永谷栄一郎が104万株(2.7%)、現社長の永谷泰次郎も104万株(2.7%)、相談役の永谷明は103万株(2.7%)、その他に永谷三代子が78万株(2.0%)、4者合計で389万株を保有しており、同社の3月23日(金)終値が1,447円なので、約56億円が時価となる。

持田製薬 <4534> 持田一族:310億円

医薬中堅で1945年4月に設立された持田製薬 <4534> は、持田良吉が1913年2月に持田商会薬局を開業したことが始まりだ。大株主一覧を見ると、持田記念医学薬学振興財団が274万株(13.3%)、現社長の持田直幸が59万株(2.9%)、その他に持田和枝が56万株(2.7%)、持田豊が45万株(2.1%)となっている。財団法人の資産は個人の所有物ではないが、広義の「創業家一族の資産」と考えれば、合計で434万株を保有しており、同社の3月23日(金)終値が7,170円なので、約310億円が時価となる。

カシオ計算機 <6952> 樫尾一族:210億円

1957年6月に樫尾4兄弟によって設立され、腕時計や電子辞書などで高シェアを誇るカシオ計算機 <6952> 。大株主一覧を見ると、有限会社カシオブロスが1,000万株(3.8%)、公益財団法人カシオ科学振興財団が335万株(1.2%)となっている。前者を樫尾一族の資産管理会社と仮定すれば、財団を含めて合計1,335万株を保有しており、同社の3月23日(金)終値が1,576円なので、約210億円が時価となる。

セイコーホールディングス <8050> 服部一族:1500億円

腕時計国内首位級で1917年10月に設立されたセイコーホールディングス <8050> の創業者は服部金太郎だ。大株主一覧を見ると、三光起業が2,367万株(11.4%)、服部悦子が1,806万株(8.7%)、現会長の服部真二が1,139万株(5.5%)、服部秀生が810万株(3.9%)となっている。三光起業を服部一族の資産管理会社と仮定すれば、合計6,122万株を保有しており、同社の3月23日(金)終値が2,486円なので、約1500億円が時価となる。なお三光起業はセイコーエプソン <6724> も2,000万株(5.0%)、時価にして370億円を保有しているため、三光起業が服部一族の資産管理会社であるのであれば、資産額はさらに膨らむ可能性がある。また、セイコーエプソンの大株主一覧には、上記以外の服部姓の名前2名も確認できる。