時間がない、時間がないと口癖になっているあなた。本当にもう活用する時間はないだろうか。同様に忙しいはずのライバルは「一体、どうやって身につけたんだ」と舌を巻くくらい時事問題から教養まで抑えている。悔しい気持ちを隠して聞くと鞄からあるものを見せてくれた、「オーディオブック」だ。

オーディオブックとは、書籍を朗読したものを録音した音声コンテンツを指す。就寝前の30分や通勤途中。休日のちょっとした空き時間に取り組むことができる。短い時間のオーディオブックもあるため、繰り返し聴くこともできる。ここでは「お金」についてのお勧め10選(『FeBe』『Audible』から選定)を伝えていこう。

1. 次代を切り開いた「英雄」の足跡

(1)『孫正義の世界戦略(週刊東洋経済eビジネス新書No.31)』(Audible、1時間1分)

2013年の米スプリント買収時のソフトバンク孫社長の矜持を紐解く。ソフトバンク社の足跡を分析すると、経営の王道ではなく、とはいえ皆が腰を抜かすほど意外性のある判断でもない、まさに孫社長の判断がそのままテキストになる凄みを感じる。大きな意思決定を控えているビジネスマンや、経営者の姿勢を学びたい独立志望の方にお勧め。

(2)『未来をつくる起業家』(Audible、16分)

ITの世界で新たな世界観を打ち出し、「今日」を作り始める社長たちの物語。Gunosyの木村新司社長やランサーズの秋好陽介社長、BizReachの南壮一郎社長などが特集されている。読者にとっては、「今」の状態から一歩昇ったら何が見えるかはとても興味深いところ、その景色を当代の注目経営者にリポートして貰うことで、目の前にある課題を突破する一考になるかもしれない。

(3)『没落金持ち1000人に学ぶなぜかお金が逃げる人 大きく貯まる人』(Audible、4時間55分)

「成功学」ばかりを聞いても仕方がないといって、このような「ノウハウ本」に興味を示さない人がいる。それは立派なひとつの考え方だ。

時代背景も人脈も異なるなかで一挙手一投足、成功者の真似をしても自分自身が成功するとは限らない。そこで「失敗学」ならぬ、この判断をしなければ上手くいったかもしれない……という反面教師とする方法がある。この本のモデルケースの(元)金持ちは1000人。今の読者の環境と近い人を探し、現状に当てはめると、実は右の道が大きな崖になっていることに気がつくかもしれない。

2. 著名なあの人の考え方を学ぶ

(4)『1分間バフェット お金の本質を解き明かす88の原則』(Audible、3時間3分)

投資の神様として著名なウォーレン・バフェット氏の行動哲学。「オマハの賢人」ことバフェット氏は現代の投資家にとって、同じ時代に生きる存在ながらも既に神格化している。「絶対に損をしない」と論じる彼の哲学は、射幸心を煽る資産形成市場において、突き刺さった投資家も少なくはないだろう。

(5)『知らないと損する 池上彰のお金の学校』(FeBe、5時間48分)

今日、日本における知識のインフルエンサーといえば、池上彰氏を推す人も多いだろう。約1000兆円に達しようとしている日本の借金に危機感を提唱し、そのなかでどう生きていくか、どのように「お金」と向き合っていくかを考える一冊。