あまり表に出ることのないファイナンシャル・プランナー(FP)という職業の女性たちに、普段どんな相談を受けているのかリレー日誌形式でつづってもらう連載。FPタケイさんのもとを訪れたのは、乳がん告知を受けたばかりの女性でした。がん患者とその家族へのサポート体制は徐々に整えられてきていますが、まだまだ充分とは言えず、お金の悩みをかかえる方も少なくない、ということが伝わってきます。

健康診断でしこりが見つかり、乳がんが発覚

その日筆者のもとに訪れたのは、38歳の会社員の女性でした。

結婚して7年、ご主人と保育園に通う息子さんと3人暮らしとのことで、ちょっと見たところでは病気であるとはわからない様子です。ところが会社の健康診断で乳房にしこりが見つかり、再検査をしたところ乳がんであることがわかったのです。

彼女が治療のことと同じくらい心配になったことは、お金のこと。何でも話せる友人に病気のことを打ち明け、お金の心配もあると話したところ、それならファイナンシャル・プランナーに相談しては、とアドバイスされてやってきたのです。

抗がん剤治療にかかるお金は1回8万円

「病院では抗がん剤治療には1回で8万円かかると言われました。通院で治療をしますが全部で8回の予定で、その後に経過が良ければ入院して手術をします。保険に入っていたのに、問い合わせをしたら出ないと言われてしまいました。住宅ローンもあるし、息子は来年小学校に入学だし、仕事をやめたら治療費だけではなく、他の支払いもできなくなってしまうかもしれない。どうしたらいいでしょう……」

実は筆者もがんの経験者です。抗がん剤治療も手術もして、仕事もしてきました。大丈夫、乗り越えられますよ、とお話ししたら少し安心していただけたようでした。

まずは、治療に関する公的保障の確認からスタートしました。

(写真=Pressmaster/Shutterstock.com)