(本記事は、鈴木秀子氏の著書『世界でたったひとりの自分を大切にする 聖心会シスターが贈る大きな愛のことば』(文響社)2018年10月19日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
【『世界でたったひとりの自分を大切にする』シリーズ】
(1)なぜ「私なんてダメ」と思うことが「傲慢」なのか
(2)人はなぜ「悪いことばかり考えてしまう」のか?
(3)「良いことしか言わない賢者」に「無残ないたずら」をしたらどうなる?
※以下、書籍より抜粋
他人との絆を育てる
物事のいいところを探す
人間には当然好き嫌いがあります。
完ぺきではありませんから、すべてを好きになれるというわけにはいきません。
「どうも好きになれないな」と思うことのほうが多いかもしれません。
でも、「あれはイヤだ」「これは嫌い」などと思うままに任せていると、イヤな感情が充満して気分が悪くなります。
機嫌よくいられなくなります。機嫌よくいられなくなると、人に害を与えます。
他人の気持ちを害すれば、人は当然離れます。
絆を失くす恐れもあります。自分にとっては大きな損になります。
だから「イヤだな」と思ったときは、どんなことでもいい、いいところを探すようにしたほうがいいのです。
ただ、場合によっては、どうしてもいいところが見つからないこともあります。
イヤなところばかりに見える人もいます。そんなときは、どういうものの見方をすればいいのか。
ヒントを与えてくれる、とある山奥に住む賢者の話をしましょう。
賢者は何があっても悪いことを言いません。
豪雨だろうと旱魃(かんばつ)だろうと、「すばらしい」「すごい」と物事のいい面ばかりを口にします。
そんな賢者を見て、人々は意地悪な考えを思いつきます。
「あの賢者はいいことしか言わない。でも人間はいいことばかり言っていられるわけがない。賢者だってイヤなことがあるはず。
どう見ても悪いところしかないものを見せつけて、『これはイヤだ』と言わせてやろう」
村人は相談をして、道端に腐った犬の死骸を置きます。
耐えがたい異臭を放つ、見るも無惨な死骸です。
村人は賢者を誘い出し、わざとそこを通るようしむけます。
そして「あそこに犬が死んでいます。醜いですね。ひどい臭いですね」とさんざん悪口を言います。
すると、賢者は立ち止まり、犬の死骸を見つめてこう言います。
「歯がキラキラと光って、なんと美しいのでしょう。宝石のように輝いているではありませんか」
見ればたしかに、犬の歯は燦々と降り注ぐ太陽の光を受けて、真珠のように輝いています。
腐って耐えがたい異臭をふりまいていても、そこだけを見ればたいへん美しく感じられます。
賢者をぎゃふんと言わせてやろうと考えていた村人は、これを聞いて改心します。
「物事はそんなふうに見ることもできるのか」と学びます。
どんなに悪く思えるものにも必ずいいところがある。
わざとらしく褒め称えなくても、見方を変えればいくらでもいいところは見出だせる。
賢者の行いを、私たちも大いに見習いたいものです。
【大きな愛のことば】
どんな状況でも、いいところを見つけられる人は、本当に賢い人。
鈴木秀子(すずき・ひでこ)
聖心会シスター。東京大学大学院人文科学研究所博士課程修了。文学博士。スタンフォード大学で教鞭をとる。聖心女子大学教授(日本近代文学)を経て、国際コミュニオン学会名誉会長。聖心女子大学キリスト教文科研究所研究員・聖心会会員。著書に44万部突破の『9つの性格 エニアグラムで見つかる「本当の自分」と最良の人間関係』(PHP研究所)のほか、『死にゆく者からの言葉』、『愛と愛しのコミュニオン』、『心の対話者』(文藝春秋)、『死は人生で最も大切なことを教えてくれる』(SBクリエイティブ)など。
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