(本記事は、石原加受子氏の著書『「自己肯定感」の高め方~「自分に厳しい人」ほど自分を傷つける~』、ぱる出版、2018年9月22日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
※以下、書籍より抜粋
情報に振り回されることの恐ろしさ
私たちは、無数の情報の中で育ちます。
家族から、友人から、学校から、職場から、テレビから、新聞から、インターネットから、さまざまなルートを通じて、さまざまな情報が私たちのもとへ届きます。
でも、それらの情報が全て正しいとは限りません。自分の状況にそぐわないことも少なくありません。
知り合いからの情報だとしても、そもそも、その人は、あなたのことをどれだけ理解しているのでしょうか。
もしかしたら、あなたの存在すら知らない人たちからの情報かもしれません。仮にあなたを知っているとしても、あなたをどれだけ理解しているでしょうか。
ましてや、あなたとあなたの周囲の人間関係を含む複雑な事情を理解している可能性が、どれだけあると言えるでしょうか。
つまり、極端な言い方をすれば、私たちは、私たちのことを理解していない人の発信する情報に囲まれて暮らしているのです。
他者中心的な人は、その情報に左右されながら生きることになります。その人が他者中心であればあるほど、頭の中の思い込みと現実とのギャップは大きくなるでしょう。
「外からの情報をいっさい受け取るな」などと言っているわけではありません。もちろん、その中には正しい情報、有益な情報もたくさんあるでしょう。
しかし、その情報を元にしてつくり上げた生き方が、もしあなたにとって苦しいものであるのなら、その情報と生き方は、あなたに合っていないのではないだろうかと疑ってみるほうが適切なのではないでしょうか。
将来への不安を一瞬で打ち消す言葉
未来は良くなるのか悪くなるのか、決まってなんかいません。
にもかかわらず、もしあなたが未来を、どうしても否定的に予測して不安や焦りに駆られているとしたら、それはあなたが他者中心的になって、外からの情報に惑わされている可能性を考えて欲しいと思わずにはいられません。
そんなときは、
「こんな発想は間違っている。未来は決まってなんかいない。この不安が正当だと思ってしまうのは間違っている」
「これって、偏った見方なんだ」
といった言葉を自分に投げかけてみることです。
言葉には、良くも悪くも気持ちを左右する力があります。
自分を肯定してあげたいときは肯定的な言葉を、冷静になって状況を客観視したいときは疑問を投げかけるような言葉を、頭の中で呟いてみると意外なほどに効果があります。
自分ひとりしかいないなら、実際に声に出して言ってみると、その効果をもっと実感しやすいでしょう。
逆に、自分を傷つけるような言葉を頭の中で繰り返していると、ほんとうに心は傷ついてしまいます。
そのときは平気でも、気づかないところであなたの心を疲れさせてしまっているでしょう。
繰り返しになりますが、私たちはさまざまな情報に囲まれて暮らしています。中には、あなたを都合よく利用しようとして無責任なことを言う人もいるでしょう。
そういう人は、あなたに、もっと自分を犠牲にするように求めてくることでしょう。「それが社会の常識だ」「みんな、していることなんだ」と。
他者中心的な人ほど、そんな有害な情報に左右されてしまいます。
そうやって私たちは、知らず知らずのうちに「自分に厳しい」仕打ちをしてしまうように刷り込まれていくのです。
そして、こんな「自分に対する不当な厳しさ」が、自分の人生そのものを厳しく、困難なものにしているのです。