イギリス初の女性首相となった“鉄の女”マーガレット・サッチャーは、強い女性の代名詞と言っても過言ではありません。

しかし、映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』でのサッチャーのセリフからは、イギリス政府の代表であるからこその苦悩、そして喜びが読み取れます。彼女の言葉は強くもあり、弱くもあり、人間味にあふれています。

マーガレット・サッチャーは自分自身の人生をかけて強いイギリスを作り上げましたが、じつは単なる「強い女」ではなかったのです。悩み多き現代の働く女性にとって、「鉄の女」ならではの“説得力があるセリフ”、気になりませんか?

「主人からのプレゼントよ。絶対に外しません」

“鉄の女”と称されるマーガレット・サッチャーには、強い女性というイメージが先行しているのではないでしょうか。ところが、映画を見ていると、とても女性らしい部分をたくさん目にすることができます。

首相にふさわしい女性になるためのアドバイスとして、女性らしい印象を与える真珠のネックレスを外すように言われると、サッチャーはこう答えます。

「これだけは絶対に外しません」

その理由は、夫からの大切なプレゼントだったからです。政治に対する考えだけでなく、ファッションにも“自分”の意志をしっかり通すのです。

「女性らしさ」「政治家らしさ」よりも自分自身を通す

サッチャーの生きた時代は現代と比べて、女性が表舞台に立つことも少なく、どちらかといえば、女性は家庭にという考えが多くを占めていました。

一方の政治界を見渡せば、当然のことながら男社会で、政治家として何をすべきかではなく、政治家という“地位”を求めて競い合う人が多いという環境でした。「何をするかではなく、誰かになりたいかが大切なの」とは、そんな政治界を嘆くサッチャーの言葉です。

そんな時代にあってサッチャーは、「女性らしく」あるでも、「政治家らしく」あるでもなく、自身の考えを通すという強い意志を持っていたのです。