平成30年から介護保険制度が見直される。柱は「地域包括ケアシステムの深化・推進」と「介護保険制度の持続可能性の確保」の2本だ。前者は誰にとっても、ウエルカムに違いない。後者は「持続可能性」とオブラートに包んでいるが、要は負担増の話だ。

収入が高いほど介護保険料が負担増に

現役世代の第2号被保険者(40歳~64歳)が負担する介護保険料は、サラリーマン・公務員の場合は勤め先(健康保険・共済保険)、自営業者や非正規労働者は市町村(国民健康保険)が拠出してきた。

健康保険・共済保険と国民健康保険は加入者数に応じて総負担額を按分してきたが、国保の加入者は低所得層が多くどうしても負担が重くなってしまう。そこで厚生労働省は、「総報酬制」を導入する。収入の多いサラリーマン・公務員の負担は重くなる。激変緩和のため、平成30年から3年かけて少しずつ負担を増やす予定だ。

負担増は、現役を退き年金生活に入ってからも続く。年金収入が年間340万円以上の層は利用者負担割合が2割から3割に引き上げられる。ちなみに受給者全体496万人のうち、3割負担は約12万人、3%に過ぎない。

医療保険はより高年収サラリーマンに厳しく

「総報酬制」は、すでに医療保険制度では平成17年から導入されている。少子高齢化に伴う医療費負担の膨張もあり、後期高齢者保健への拠出はサラリーマンの肩に重くのしかかる。平成7年に7.3%だった料率が、直近では9.1%にまで膨らんだ。

さらに、サラリーマンの中でも高年収層には、より負担感が増している。健康保険料は毎月の給料(標準報酬月額)に料率を乗じて負担額を計算するが、この標準報酬月額には上限が設けられている

10年前には、月収98万円以上なら、そこで負担増は打ち止めだった。その上限が平成19年には121万円、平成28年には139万円にまで引き上げられた。影響を受けるのは、年収にすれば1500万円以上クラスだ。