「独身女性が増えている。」さまざまなシーンで耳にしますね。ほんの30年ほど前、1985年には35~39歳の女性で独身の割合は6.6%でしたが、2015年には23.9%となりました(総務省「国勢調査」年齢別未婚率の推移)。かくいう筆者も一度結婚経験はありますが40代シングル、同年代友人にも結婚していない女性がちらほらいます。

とはいえアラフォー独身のわたしたち、まだまだロールモデルは少ないのが現実。わたしたちの将来はどうなるのでしょうか?

やっぱり不安なひとりの老後

(写真=miya227/Shutterstock.com)

女性のライフステージごとの不安を分析した研究に『家族に関わる女性の不安-多様化する女性のライフコースと不安、政策にも多様性の観点を』(久我尚子、ニッセイ基礎研究所、2017年)があります。

それによると、未婚40代女性の不安の特徴は「独身不安」と「介護不安」。「結婚しないと孤独なのでは」「自分が介護される立場になった時、誰が介護してくれるのだろう」という不安です。つまりは、人生の晩年を想像してみた時の不安なのでしょう。

女性が独身で老後を迎えるためのお金を備える

(写真=miya227/Shutterstock.com)

シングルは老後の備えが少ない

では、わたしたちは不安な老後にどう備えているのでしょうか。第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部の『中高年シングルの人生設計と高齢期への備え-「ライフデザイン白書」調査より-』(北村安樹子、2017年)を見てみましょう。これはライフプランに関するアンケート調査から、配偶者のいない40~59歳の男女のデータを取り出して分析したものです。

これによると、配偶者がいる同年代に比べてシングルの人の場合は、自分の高齢期に向けた準備が遅れがちであることが分かりました。女性では4割弱の人が「特に準備していない」と答えています。

女の老後対策は「キャリアアップ」?

調査結果で面白いところは、高齢期に向けた備えとして「職を得るための専門的な技術や技能の習得」を挙げる人が、独身女性に多いこと。7.1%と数値としてはそれほど高くないのですが、財産形成や民間の保険・年金への加入など他の備えは既婚女性の方が高いのに対し、「技術・技能の習得」だけは独身女性の方が上回るのです。ちなみにこれは、同年代の独身男性より高い数値です。

独身女性の老後対策は、「キャリアアップしてできるだけ長く働くこと」に、より目が向いているのかもしれません。

備えることで不安が等身大になる

このレポートが指摘している点はもうひとつあります。人生設計を考えている人は考えていない人に比べて将来に不安を感じる人が少ないということ、そしてまだ備えができていなくても「考え中」である人は、女性を中心に経済面の備えや健康面のリスクを意識できるという効果を実感しているということです。

不安は「知らない」ということで増幅されるもの。知識を持ち少しずつでも備え出すことで、現実的で身の丈にあった不安の姿と向き合うことができるのではないでしょうか。