エルメスやルイ・ヴィトンに代表されるラグジュアリーブランドは、いつの時代も憧れのブランドの1つであると言えよう。クラフトマンシップに基づいたモノづくりと、最新のデザインの融合は見ているだけでも美しい。しかし昨今、ラグジュアリーブランド業界に異変が起きている。どのように進化しているのだろうか。

最近のラグジュアリーブランドに何が起きている?

ラグジュアリーブランドと言えば「永遠の美しさ」だったり、「定番のデザイン」というイメージを持つ人も多いだろう。しかし最近、デザイナーが立て続けに変わっているのをご存じだろうか。

一番のビッグニュースは、ルイ・ヴィトンのメンズのクリエイティブ・ディレクターにヴァージル・アブロー氏が就任したことだろう。ヴァージル・アブロー氏は、オフホワイトというブランドで、ラグジュアリーなストリートウェアを提案していたデザイナーだ。同ブランドの初の黒人デザイナーでもある。

ストリート出身のデザイナーが、ラグジュアリーブランドのクリエイティブ・ディレクターに抜擢されるのは極めて異例だった。しかし、バレンシアガのデザイナーとして、同様にストリートブランドであるヴェトモンを手掛けるデムナ・ヴァザリア氏が抜擢されるなど、ここ最近、ストリート系のデザイナーがラグジュアリーブランドに抜擢されることが増えている。

さらに2017年にはルイ・ヴィトンと人気のストリートブランドであるシュプリームがコラボし、表参道に大行列ができるなど、今まででは考えられなかったことが起きている。ファッション業界は今、変革の真っただ中にいると言ってよいだろう。

なぜストリートウェアがラグジュアリーブランドを席捲するのか

なぜ今、ストリートウェアがラグジュアリーブランドを席捲しているのだろうか。理由は2つあると考えられる。

1つは「インスタ映え」に代表されるSNSの台頭だ。若いセレブや有名人が続々とインスタでファッションアピールをするようになり、今やファッショントレンドを作っていると言っても過言ではない。実際、SNS映えしやすい大きいロゴなどが人気のデザインとなっている。大きいロゴのデザインはストリートブランドが得意としていたものだ。こういった動向が、ラグジュアリーブランドのストリート化を後押ししているといえよう。

もう1つはクラブカルチャーの浸透だ。現在、音楽をはじめ、世界中で「踊るクラブイベント」が人気を博しており、こぞって有名人もクラブに通っている。クラブでのファッションシーンとして、ストリートが注目されているのだ。こういった動きも反映されていると考えられる。

ラグジュアリーブランドは世相や経済を反映している

ファッションはデザイナーのセンスだけで作っていると思われるかもしれない。しかし、実のところ世相や経済を反映していることが実は多くある。たとえば2006~2007年ごろ、ロシア経済に活気があった時期は、コレクションにもロシアを思わせる毛皮使いやデザインが散見された。コムデギャルソンやヨウジヤマモトが世界でブームになった背景は、好景気を背景にした「新しい日本像」が受け入れられたからにほかならない。

ブランドにはマーケティングチームがあり、クリエイティブチームがある。彼らが利益度外視のボランティアでない以上、市場の動向がファッションに反映されるのは、よく考えれば当然かもしれない。

ラグジュアリーブランドは時代を映す鏡?

ラグジュアリーブランドは、ともするとセンスや感性だけで洋服をデザインしていると思われがちだが、実は、世相やその時々の市場を反映したデザインになっていることが多い。今は大きな流れとして、ストリートブランドが台頭している。それだけストリートカルチャーが一般的に受け入れられるようになっているのだろう。

世相や経済の観点から洋服を見てみると、また新しい発見があるかもしれない。一度そういった視点でブランドを見てみてはいかがだろうか。

文・ZUU online 編集部/ZUU online

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