ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手の大活躍にメディアの報道もヒートアップしている。筆者もMLBのテレビ中継を興奮しながら連日かぶりつくように見ている。これだけ一生懸命MLBを見るのは、イチローがマリナーズでヒットを量産していた頃以来だ。

ところで、株式市場ではイベントやヒット商品があれば関連銘柄を物色するのが常である。そうした中で注目されるのが森永製菓 <2201> だ。同社の株価が4月以降急上昇しているのは「大谷効果」との観測もある。詳しく見てみよう。

発売50周年で「チョコボールの売上」が急増

森永製菓のシンボルマークは「天使」だ。森永の頭文字「M」を天使の羽に見立てたマークをご存知の人も多いことだろう。大谷選手の所属しているのはロサンゼルス・エンゼルスで、こちらも天使がシンボルマークだ。実際、森永製菓がチョコボールのCMに大谷選手を検討しているとの報道が昨年末にあったが、「天使つながり」でCM起用が実現すると相乗効果が期待できそうだ。

ところで、筆者にとって森永製菓のチョコボールといえば「金のエンゼル」と「銀のエンゼル」である。筆者も子供の頃は「おもちゃのカンズメ」欲しさに毎日のようにチョコボールを買っていたものである。そのチョコボールは昨年で発売50周年を迎えた。50周年イベントなどが奏功し、国内チョコボールの売上は2017年3月期の3%減から2018年3月期には23%増と大きく増加した。この勢いで大谷選手をCMに起用すれば国内売上はさらに増加し、海外でもチョコボールを拡販できるのではないだろうか? ファンとしては大谷選手のCM起用が楽しみでならない。

森永製菓の「ハイチュウ」がエンゼルスとスポンサー契約

ちなみに、米国は森永製菓の強化地域でもある。米国向け戦略商品のソフトキャンディ「ハイチュウ」を「HI-CHEW」として拡販している。発売当初は、西海岸の日系ストアのアジアコーナー中心で展開していたが、米系ストアのウォルマート、コストコなどの大手ナショナルチェーンでの販路を開拓、認知度も上がり、エリアも全国区になってきた。
 
しかし、ハイチュウの認知度向上は何と言ってもMLBの貢献が大きい。もともとレッドソックスの田澤純一選手(現・マーリンズ)がベンチに持ち込んだハイチュウがチームメイトに好評で、あっという間に大リーガーに広がった。好評を聞きつけた森永製菓は輸出による提供を開始、その後、米国内での生産を展開し、レッドソックスやドジャーズなど多くのチームと「スポンサー契約」を締結したのである。スポンサー契約のチームのベンチにはハイチュウが山積みになっており、それがさらなる知名度アップにつながったのだ。

そして2018年、森永製菓のハイチュウは大谷選手が所属しているエンゼルスとも公式スポンサー契約を結び、スタジアムでのイベント、サンプル配布、販売なども企画されている。筆者も大谷選手がハイチュウやチョコボールのCMに起用される下地は十分に整っているように感じるのだが、どうだろうか?

森永製菓の海外売上を見てみよう。2018年3月期の食品製造事業の海外売上は133億円と前期比で7%減少している。海外の売上構成比はまだ6.5%にすぎない。前期の海外売上の減少は円高の影響が大きいのだろう。まだ地区別の詳細は公表されていないが、米国向けは中間時点では前年同期を25%上回っていた。加えて、今期の国内食品製造事業が計画で1%の伸びなのに対し、海外は15%増の154億円を見込んでおり、海外の売上構成比も7.3%まで上昇する見通しだ。同社は米国での売上好調を想定しているのかもしれない。