保険も共済も性質は似ているが、適用法令や運営目的、使われる用語、費用面などに違いがある。保険に加入するべきか共済に加入するべきか、それぞれの特徴を理解して比較することが重要だ。

保険と共済の大きな違いとは?

保険と共済の最も大きな違いは、保険は民間会社が「営利」を目的に事業運営しているサービスであることに対し、共済は共同組合などが会員同士の「助け合い」のために運営されているという点だ。

民間の保険会社が提供する生命保険や損害保険は、それぞれの保険会社が一般消費者に対して加入を勧める。一方で共済では、都道府県や市町村などの地方自治体や民間企業、民間企業の労働組合などの中で提供され、共済によって加入要件は異なるものの、組合員になることで各共済に加入する資格を有するのが一般的だ。

一般的には、共済の方が掛け金が安く、加入までに要する時間も短いとされる。掛け金が安く抑えられているのは、民間の保険会社よりも宣伝費用などの経費を抑えるなどの取り組みをしているからだ。一方で、共済で選べる保障内容などの種類は民間保険と比較すると少ない。

その点では、民間の保険会社が提供する保険商品は、掛け金や保障内容、保障条件などを組み合わせたさまざまな商品があることが強み。加入者に対する電話サポートなども共済より手厚くなっていることも多い。

また保険と共済では、用途や性質は同じでも使われる用語が異なる。保険では「保険金」「保険料」「配当金」という言葉を使うのに対し、共済では「共済金「共済掛金」「割戻金」という言葉が使用される。

保険と共済では適用法令や所管が異なる

また適用される法律・法令も保険と共済で異なっている。

保険の場合は「保険業法」が保険業を営む場合に適用される。この保険業法は1939年に制定されたが、1996年に全文改正が行われた。保険業法では、保険会社とこれらの会社が提供する保険商品、勧誘などに対する監督内容や規制内容が定められている。監督と規制を行う主体は金融庁だ。

そのほか、保険事業に関連する業界団体がそれぞれ自主規制規則と呼ばれるガイドラインを設けている。こういったガイドラインを設けているのは、一般社団法人生命保険協会や一般社団法人日本損害保険協会だ。

生命保険を提供する民間企業は生命保険業免許を、損害保険を提供する民間企業は損害保険業免許を受けなければならない。保険業法によって規定される保険事業全体を俯瞰すると、保険事業は「保険業」と「少額短期保険業」の2タイプに分類される。保険業は、さらに生命保険業と損害保険業に分類される。少額短期保険業とは、保険期間が2年以内で保険金額が1,000万円以内の保険商品を提供する事業のことを呼ぶ。