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2020/08/07

つみたてNISAでETFは選ぶべきではない!? 投資信託と迷ったら?

(写真=William Potter/Shutterstock.com)
(写真=William Potter/Shutterstock.com)

つみたてNISAで投資できるのは、金融庁の厳しい基準をクリアした「投資信託」と「ETF」だけです。どちらも長期投資に向く商品に絞り込まれているので、どう選んだらいいか迷う方もいるかもしれませんね。でも実はつみたてNISAのETFはあまりおすすめではありません。

銘柄は厳選されているはずなのに、なぜつみたてNISAでETFを選ばない方がよいのでしょうか。本記事では、「つみたてNISAのETFがおすすめではない理由」をわかりやすく解説します。また、ETF自体の特徴などもあわせて解説します。

つみたてNISAは「ETF」ではなく「投資信託」が最適

冒頭でも触れたように、つみたてNISAの場合「ETF」より通常の「投資信託」をおすすめします。

なぜならつみたてNISAでは、通常の投資信託の方がETFより取引手数料や複利効果の面で優れているからです。投資できる対象銘柄の数も通常の投資信託の方が多く、よりたくさんの選択肢から選ぶことができます。

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つみたてNISAの「ETF」と「投資信託」、迷ったらどう判断する?

次の表に、つみたてNISAの投資信託とETFの違いをまとめました。こうして一覧にしてみると、つみたてNISAでは投資信託の方がメリットが多いことがわかると思います。ETFと投資信託で迷っているという方は、それぞれの項目を比較して判断するといいでしょう。

(画像=著者作成)

 

ETFにはもともと、保有コストである「信託報酬」が安いというメリットがあります。しかしつみたてNISAに限った場合、通常の投資信託でも信託報酬が安い銘柄に限定されているので、“ETF特有のメリット”だとは言えないのです。

つみたてNISAでETFを選択しない方がよい理由、さらに詳しく解説!

つみたてNISAでETFに投資することをおすすめしない、その理由を3つ、さらに詳しく見ていきましょう。

理由その1:「買い」と「売り」に手数料が掛かる

つみたてNISAで買える通常の投資信託は、すべて手数料無料で買えるノーロード投資信託です。通常の投資信託は「信託財産留保額」という解約コストが設定されていない限り売却も無料です。

しかしETFの場合は、買うときも売るときも手数料が掛かってしまいます。

理由その2:複利効果が薄れる

通常の投資信託は、投資信託が保有する株式で利益が出た場合は自動的に再投資してくれます。複利効果で効率的な運用が期待できるのですが、ETFの場合は期間中に発生した利益のすべてを分配することが定められています。つまり、利益をすべて分配金として排出してししまうのです。

受け取った分配金を自分で再投資すればよいのですが、ETFは1円単位で売買できませんので再投資できない金額がでる可能性があります。複利効果を完全に活かすことは難しいでしょう。

理由その3:投資信託の方が、保有コストが安い場合も

ETF自体は“保有コストの安さ”がメリットの一つですが、つみたてNISAの場合はそう際立ったメリットとは言えません。通常の投資信託でも十分コストが安いものがあり、つみたてNISAはそういった銘柄に限定されているためです。

保有コストについては、後の章でも詳しく比較してみます。

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そもそも「ETF」と「投資信託」の違いとは?

より深い理解のため、そもそものETFと投資信託の違いも確認しましょう。

「上場」か「非上場」か

ETFは「上場投資信託」、つまり証券取引所に上場している投資信託を指します。銀行では取引できませんが、証券会社ならどこでも取引することができます。リアルタイムで取引がなされるので、同じ日の取引でも価格が安くも高くもなります。

通常の投資信託は非上場で各金融機関が取り扱うものしか取引ができません。申し込みは店頭やホームページで行います。価格も1日に1つの値段しか付きませんから、違う時間の注文だとしても同じ日であればすべて同じ価格で取引されることになります。

掛かるコストが違う

投資信託は保有する間に「信託報酬」というコストが掛かります。信託報酬は、運用を指示する「運用会社」、お金を預かる「信託銀行」、投資信託を販売する「販売会社」の3社に支払うものです。

一方、ETFは取引所に上場しているため、特定の販売会社がありません。販売会社に支払う報酬がないため信託報酬が安い傾向にあります。

(画像=著者作成)

ETF(上場投資信託)の特徴とは?

さらに「ETFとはどういったものなのか」をより理解するために、ETFのメリットデメリットをまとめました。

ETFのメリット

前述したようにETFは販売会社に支払う報酬が設定されていないため、信託報酬が比較的安いのが特徴です。運用成績は信託報酬などのコストが安いほうが良くなるので、これはETFのメリットの一つと言えるでしょう。

また取引所に上場しているため、リアルタイムで取引できることもメリットです。通常の投資信託の場合、取引時間中の値動きによって利益を得ることはできませんが、ETFならそれができます。

 

【ETFのメリット】
・信託報酬が安い傾向がある
・リアルタイムで取引ができる

 

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>楽天証券の詳細をみる(公式サイト) ●ETFのデメリット
ETFの中には取引が極端に少なく、公正な値動きになりにくい銘柄があります。「マーケットメイク制度」で公正な値動きになるよう調整されるETFもありますが、すべてのETFに対応しているわけではありません。

 

また前述したように「買い」と「売り」の両方に手数料がかかる点や、複利効果を得られない点もデメリットです。これらはそのまま「つみたてNISAではETFを選ばない方がいい理由」にもつながります。

 

【ETFのデメリット】
・取引量が極端に少なく、公正な値動きになりにくい銘柄がある
・買いと売りの両方に手数料がかかる
・複利効果が生まれない

 

“つみたてNISAで購入できるETF”の特徴

ETF自体の特徴は以上ですが、「つみたてNISAで購入ができるETF」にはどんな特徴があるのでしょうか。

つみたてNISA対象のETFには金融庁からの厳しい要件が

ETFに限りませんが、つみたてNISAの対象銘柄は金融庁が設定する厳しい要件をクリアしたものです。以下にまとめましたが、かなり多くの要件が設定されていることがわかります。

共通の要件 ・信託期間が無期限または20年以上
・分配頻度が毎月ではない
・デリバティブ運用をしていない(ヘッジ目的は除く)
・指定のインデックスに連動する
・株式に投資するもの
・最低取引単位が1,000円以下
・売買手数料が1.25%以下
・受益者ごとの信託報酬等の概算値が通知されるもの
・金融庁への届出がなされているもの
国内ETF ・取引所が指定するもの
・信託報酬が0.25%以下
外国ETF ・資産総額が1兆円以上
・信託報酬0.25%以下

つみたてNISAではETFの数は少ない

厳しい条件が設定されているためか、つみたてNISA対象のETFは7本しかありません。通常の投資信託は170本を超えていますから、つみたてNISA対象のETFの少なさが際立ちますね。
 
つみたてNISA対象の銘柄数
(2020年6月29日時点)
ETF 7本
通常の投資信託 175本

つみたてNISA ETFを扱っているのは大和証券のみ

主要証券会社の中で、つみたてNISAでETFを扱っている証券会社は「大和証券」だけです。つみたてNISA対象のETF自体が少ないですが、対応している金融機関は1社という少なさです。
 
つみたてNISAでETFが買える証券会社 大和証券
つみたてNISAでETFが買えない証券会社 野村證券、日興証券、みずほ証券
SBI証券、楽天証券、マネックス証券など


つみたてNISAのETFは、通常の投資信託と比べるとかなり選択肢が少ないと言えるでしょう。

つみたてNISAの対象ETFは?

ここで、つみたてNISAの対象になっているETFを確認してみましょう。つみたてNISA対象のETFは7本で、すべてある特定の指数に連動する「インデックスファンド」です。それぞれ解説します。
 
  過去の
リターン
(年率)
信託報酬
(税込み)
2020/8/4
終値
1年 3年 5年
ダイワ上場投信-
トピックス
2.95% 1.10% 1.23% 0.121%
以内
1,620円
ダイワ上場投信-
日経225
6.80% 5.56% 3.79% 0.176%
以内
2万3,080円
ダイワ上場投信-
JPX日経400
4.01% 1.42% 1.10% 0.198%
以内
3,800円
上場
インデックスファンド
米国株式
5.81% 7.91% 6.95% 0.264%
程度
2,573円
上場
インデックスファンド
海外先進国株式
(MSCI-KOKUSAI)
2.25% 4.94% 4.14% 0.264%
程度
2,578円
上場
インデックスファンド
海外新興国株式
(MSCIエマージング)
▲4.20% ▲1.38% ▲4.94% 0.264%
程度
1,464円
上場
インデックスファンド
世界株式 除く日本
(MSCI ACWI 除く日本)
1.41% 4.04% 3.31% 0.264%
程度
2,192円

「ダイワ上場投信-トピックス」 東証1部全体へ投資

参照指数 投資地域 投資上位3銘柄
(2020年6月30日時点)
トピックス 日本 ・トヨタ
・ソニー
・ソフトバンクグループ

「トピックス」は、東証1部に上場しているすべての銘柄を対象に計算される指数で、「東証株価指数」とも呼ばれます。参照する銘柄が日経平均よりも多いため、より東証市場全体を表している指数と言えます。

トピックスは株式の時価総額(株価×浮動株(東証で実際に流通している株数))が大きい「大型株」の構成割合が大きくなります。

つまりトピックスに連動するETFへの投資は、「日本の大企業全体へ投資する」ことを意味します。日本の経済成長の恩恵を受けられる銘柄と言えそうですね。

「ダイワ上場投信-日経225」 日本の大企業225社へ投資

参照指数 投資地域 投資上位3銘柄
(2020年6月30日時点)
日経平均 日本 ・ファーストリテイリング
・ソフトバンクグループ
・東京エレクトロン

日経平均はトピックスに似ていますが、日本経済新聞社が東証1部の中から選んだ、日本を代表する225銘柄で構成される指数です。トピックスは東証全体の指数でしたが、日経平均は特に大きな企業で構成されている点が異なります。

違いは計算方法にもあります。トピックスは時価総額に基づいて計算されますが、日経平均は株価の単純平均で算出されます。したがって、株価が大きい「値がさ株」の影響を大きく受けます。

「日経平均」ETFへ投資するということは、「大企業225社(特に値がさ株)へ投資する」ことを意味します。

「ダイワ上場投信-JPX日経400」 投資魅力の高い400社へ投資

参照指数 投資地域 投資上位3銘柄
(2020年6月30日時点)
JPX日経400 日本 ・キーエンス
・ソニー
・任天堂

「JPX日経400」は、2014年から算出が始まった比較的新しい指数です。証券取引所と日本経済新聞社がスコアリングし、「投資者にとって投資魅力の高い会社」と考えられる400社を選んで計算しています。

トピックスや日経平均と違い、東証2部やマザーズ、ジャスダックといった新興市場に上場している会社も対象になっています。

幅広い市場から経済の専門家がスコアリングし、有力な企業で構成されています。トピックスや日経平均と違った目線で投資をしたい方は、JPX日経400のETFを検討してみてはいかがでしょうか。

「上場インデックスファンド 米国株式」 アメリカの大企業500社へ投資

参照指数 投資地域 投資上位3銘柄
(2020年6月30日時点)
S&P500 米国 ・マイクロソフト
・アップル
・アマゾンドットコム

アメリカの株価指数で有名なのは「NYダウ」ですが、より幅広い銘柄で構成されるのが「S&P500」です。NYダウはアメリカの大企業30社のみで構成されていますが、S&P500は500社をカバーしています。

「トピックス」と同じく、時価総額が大きい「大型株」の影響が大きくなります。アメリカの大型株は、アップルやマイクロソフトなどハイテク企業が多いのが特徴です。

アメリカのハイテク企業の好調が続けば、S&P500に連動するETFにも恩恵がありそうです。ただし、海外への投資は為替リスクがあることに注意しましょう。

「上場インデックスファンド 海外先進国株式」 日本以外の先進国へ投資

参照指数 投資地域 投資上位3銘柄
(2020年6月30日時点)
MSCI-KOKUSAI 先進国
※アメリカ(71.71%)
イギリス(4.91%)
フランス(3.60%)
・アップル
・マイクロソフト
・アマゾンドットコム

「MSCI-KOKUSAI(コクサイ)」は、日本を除く先進国の株価に連動するよう設計された指数です。「トピックス」や「S&P500」と違い、1つの国ではなく複数の国を参照します。

MSCI-KOKUSAI指数に連動するETFへ投資すれば、1本で先進国全体へ手軽に分散投資ができます。「先進国全体へ投資したい」という方は、海外先進国ETFを選ぶといいでしょう。

ただし、アメリカの金融市場はとても大きいため、先進国全体へ投資するといってもアメリカの株式の影響が大きくなるので注意しましょう。

「上場インデックスファンド 海外新興国株式」 東アジア中心に投資

参照指数 投資地域 投資上位3銘柄
(2020年6月30日時点)
MSCI エマージング 新興国
※中国(40.95%)
台湾(12.28%)
韓国(11.61%)
・アリババグループ
・テンセント
・台湾セミコンダクターMFG

「MSCI エマージング」は複数の新興国の銘柄で構成される株価指数です。構成国は中国や台湾、韓国など東アジアの国々の比率が高くなっています。

投資上位の株を見てみると、中国の「アリババ」や「テンセント」、台湾の「台湾セミコンダクターMFG」が並び、4位には韓国の「サムスン電子」が入っています。東アジアを代表するハイテク株の比率が高いですね。

MSCIエマージングETFは、東アジアのハイテク産業に投資したい方が選ぶ銘柄と言えるでしょう。

「上場インデックスファンド 世界株式」 世界中の株式に投資

参照指数 投資地域 投資上位3銘柄
(2020年5月29日時点)
MSCI ACWI ex Japan 世界
※アメリカ(61.89%)
中国(5.35%)
イギリス(4.17%)
・アップル
・マイクロソフト
・アマゾンドットコム

「MSCI ACWI ex Japan」指数は、日本を除く全世界の銘柄で構成される株価指数です。7本のETFの中で、最も分散投資がなされている銘柄と言えます。

全世界の株式とはいえ、やはりアメリカの影響が大きいですね。上位3位まで、アメリカのハイテク企業が独占しています。

投資地域の2位には、イギリスを押さえて中国が入っています。アメリカの影響は大きいですが、ある程度は分散効果も期待できそうです。

ETFと「投資信託」の保有コスト比較

つみたてNISA対象のETFと同じ指数に連動する通常の投資信託(インデックスファンド)を比較してみると、そう大差ないことがわかります。中には通常の投資信託の方が安いコストのものもありますね。
 
投資信託 対象指数 ETF
0.154%
(eMAXIS Slim国内株式)
TOPIX 0.121%
0.154%
(iFree日経225インデックス)
日経平均 0.176%
0.2145%
(ニッセイJPX日経400)
JPX400 0.198%
0.0968%
(eMAXIS Slim米国株式)
S&P500
(アメリカ株式)
0.165%
0.10989%
(ニッセイ外国株式)
MSCIコクサイ
(日本を除く先進国株式)
0.264%
0.2079%
(eMAXIS Slim新興国株式)
MSCIエマージング
(新興国株式)
0.264%
0.1144%
(eMAXIS Slim全世界株式)
MSCI AWCI ex JAPAN
(日本を除く全世界株式)
0.264%

ETFは売買の手数料が掛かることを考えれば、コスト面から考えれば通常の投資信託でつみたてNISAを利用した方がよさそうです。

先入観にとらわれず投資先を選ぶようにしよう

ETFには“保有コストが安い”というメリットがありますが、もともと保有コストが安い銘柄に限定されたつみたてNISAの中では、大きなメリットとは言えません。むしろ取引手数料がかかってしまう分、通常の投資信託の方が安いコストで運用できるでしょう。

つみたてNISAは、自分で運用する商品を選ばないといけません。「ETFだから良い」と思い込みで投資をするのではなく、通常の投資信託との比較をしっかり行って投資先を選ぶようにしましょう。

文・
肩書・ファイナンシャルプランナー
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業、保険募集代理業、金融系ライターとして活動しています。 関心のあるジャンルは資産運用や保険、またお得なポイントサービスなど。お金にまつわることなら幅広くカバーし、発信しています。AFP、プライベートバンキング・コーディネーター資格保有。

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