数年前の大ヒットドラマで、49歳のキャリアウーマンが20代女性に語った「私たちのまわりにはね、たくさんの呪いがあるの」という台詞が話題になりました。

“呪い”という言葉で表現されたものとは、知らず知らずのうちに女性を縛る「こうあるべき」「これが普通」という固定観念であるといえます。

『エンパワーメント 働くミレニアル女子が身につけたい力』 (大崎麻子著、経済界)より知らないうちに自分の生き方や選択を縛るものから自由になるための考え方をご紹介します。

女性のエンパワーメント専門家ですら直面した“呪い”とは?

著者自身も、これまでの人生で数々の呪いに直面してきたといいます。

著者の経歴は一見、“呪い“があったようには思えません。上智大学を卒業し、米国コロンビア大学で国際関係修士号を取得。国連では世界各地において女性のための教育、雇用・起業支援、政治参加の推進等に携わりました。現在は、二児の母でもあり、関西学院大学客員教授などを務め、メディアでも露出する「女性のエンパワーメント専門家」として活躍しています。

そんな著者でもかつては「子どもができたら、母親はすべてを投げ打って育児に専念すべき」「キャリアアップとは組織で働き続け、確実に昇進していくこと」などといった義務感や不安、心配、つまりは“呪い“にかかっていた時期もあったそうです。そうした固定観念を乗り越えて自分で決断してきたおかげで今の自分がある、と振り返っています。

もし、自分の意思ではなく、「こうあるべき」といった固定観念に自分の決断を委ねていたら、著者が持つ今のキャリアもライフもなかったのかもしれません。

日本の若い女性が抱える悩みや不安の根っこにあるのは、多くの場合、こうした「呪い」ではないでしょうか?自分らしく、幸せに生きるためには、まずは「呪い」の存在を認識し、それを解かなければなりません。(008~009ページより引用)

“呪い”から解放されるために高めたい「自分で決める力」

人生は一つ一つが決断の積み重ねです。まずは、自分を縛っている呪いを認識し、納得がいく選択を決断していくこと、つまり「自分で決めること」が、後悔しない幸せな人生を歩むコツであるといえるでしょう。

著者によると、「自分で決める力」は一つのスキルであり、必ずしも自然に身についていくものではないそうです。

「自分で決める力」を高めるためには、次のような力が大切なのだそうです。

①「事実」と「意見」を区別する力②「根拠」を言葉にする力 というクリティカル・シンキングの基本的な力を身につけましょう。それに加えて、③「聞き流す力」 を身につけておけば、自分で納得できる選択ができるようになります。(085ページより引用)

クリティカル・シンキングとは「健全な批判精神に基づいた、客観的な思考」と定義づけられています。本当にそうなのだろうか、他の見方はないのだろうかといった健全な批判精神を持つことがファーストステップであるといえるでしょう。

事実とは視覚・聴覚・客観的なデータで根拠を示せることであり、意見はその人の経験や視点に基づいた解釈。まずは、この二つを日頃の生活においてよく考える習慣を持つことが大事なようです。

そして、一つ一つの事柄に対して、考えだした理由や根拠を書き出していくことも言語化する訓練になります。

そのうえで、根拠が見えない周囲の声は聞き流して前に進む。日々の訓練の繰り返しによって、だんだんと「自分で決める力」は高まっていくのではないでしょうか。

自分で自分を守る、レジリエンスという力

主体的に生きるために必要な「自分で考え、自分で決める力」の大切さだけではなく、「自分で自分を守る力」の重要性についても語られています。

自分に降りかかった問題を一つずつ解決し、辛い気持ちを少しずつ癒しながら、また立ち上がっていけるような「回復力」も、生きていくうえで大切な力です。今、世界でもその「回復力」(英語では「レジリエンス」と言います)が注目されています。(114ページより引用)

例えば、世界中で地震や津波、台風といった大規模災害が起きたとします。生きていると自分の力ではどうにもならない災難に襲われることもときにはあります。被災した人の中にも、その経験を人生の糧にしていく人と、さらに自分を追い込んでしまう人とあるようですが、前者がレジリエンス度の高い人であるようです。

これまでの日常を一変させるような困難を乗り越えるための力とは、具体的には「自尊感情」「自己決定力」「適切な支援を受ける力」「信頼できる人たちとの繋がり」です。

“呪い”から解放されたい女性が身につけたい「2つの術」とは?

本著でいうエンパワーメントとは、以下の4つの要素を身につけるプロセスのことだそうです。

①健康②教育③生計手段・経済力④社会・政治への参画(参加ではなく参画とあるのは、より主体的に関わることを意味します。) (031~032ページより引用)

エンパワーメントとはつまり、「自己責任で生きるための術を身につける」ことに加えて、「地域や社会との繋がりを持つ、多くの人々と助け合い、より良い社会を築いていくための術を身につけること」なのです。

多くの日本人女性にとって、これまでの社会は、自分で考え自分で決めることや、自分の考えを論理的に言葉で表現する機会がたくさんあったとは言い切れません。だとしたら、今からでも意識してそのスキルを身につけていく必要があります。

私たちは日頃の生活において一つ一つの選択にもっと意識を高めることで、自分の生き方を自由に選んでいくことができるのかもしれません。

書籍紹介

ミレニアル女性 『エンパワーメント 働くミレニアル女子が身につけたい力』 (大崎麻子著、経済界)

タイトル: エンパワーメント 働くミレニアル女子が身につけたい力
著者: 大崎麻子
発行: 経済界
定価: 1300円(税抜)

文・ナカセコ エミコ((株)FILAGE(フィラージュ)代表)/DAILY ANDS

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