株式投資家の多くは、株式投資に対し宝探しのようなイメージで臨んでいる。「上がる株はどれだろうか?」と常に特定の銘柄を探す意識を持っている。市場の中には、1年間で10倍にも、時には100倍近く上昇を見せる銘柄があるので、これらに引き寄せられるのだ。

現在、日本国内の個人投資家が売買可能な銘柄は数千銘柄にのぼる。この中から、急上昇する銘柄を見つけようとすることは、確率的に考えて非常に難しい。また一般の個人投資家は、「何かが急上昇した」という情報を聞きつけてから買いに入ることが多く、結局高値づかみをしてしまい、その後の急落で損をすることが多い。この事実を振り返る時、これから急上昇する銘柄を、事前に探そうとする銘柄探しには、自ずと限界があることに気づく。

どんな銘柄でも利益を上げることができる

株式投資は、ある時点で株式を購入し、購入価格よりも高くなったところで売却することで利益を得る投資だ。購入価格と売却価格の差が確保できれば、必ずしも急上昇である必要はないのだ。「安く買って高く売る」、市場で語り継がれるこの格言を単純に理解すれば、実はどんな銘柄でも利益を上げることができることに気づく。

試しに、あなたの手元で、何らかの銘柄の株価チャートを確認してみよう。そこには無数のローソク足により株価の変化が表示され、大小様々な上下動の波が確認できるはずだ。株価は常に上下動の振幅を形成しながらある方向性に向かって動いている。これが株価変動のシンプルな性質だ。

この株価変動の性質を理解すれば、上下に振幅する株価の波の中で、下落して安くなった時に株を買い、その後上昇した時点で売却すれば、利益を上げることができる。市場は、そんな株価の上下動で溢れている。つまり、いつでも、どんな銘柄でも利益を上げることができるということだ。

ここで注意しなければならないのは、上記の解説は、あくまでも後から株価の変動を確認してなされた解説だ。それに対して、これから形成される株価の動きを、事前に100%の確率で予想することはできない。しかし、ここから一歩踏み込んで株価の本質や株価変動の性質を学べば、一定の精度で価格の動きを想定していくことが可能になる。

株価が動く2つの要因 短期と長期で異なる

株価とは、理論的には「その企業が将来的に上げる収益を現在の価値に換算したもの」と定義することができる。株価は、大局的には、その企業の収益の増減に合わせるようにして上下動を形成する。

しかし、株価の長期的な動きは、必ずその企業の収益の増減と一致するわけではなく、収益の増減と反対方向に動くこともある。この際、市場では市場参加者の心理状態が価格形成に大きな影響を及ぼしている。株価とは、理論的な背景による収益の評価の影響を受け、同時に市場参加者の集団心理による評価の影響を受ける。その2つの評価の影響が、価格の動きとして株価チャートに現れている。

株価は、短期的には収益の増減とは無関係の上下動を形成する。これには、上記で確認した市場参加者の集団心理が大きく影響している。「利益が上がりそうだから買いたい」という心理が強くなれば、買い注文が増えて価格が上がる。「損をしそうだから売りたい」という心理が強くなれば、売り注文が増えて価格が下がる。私たちが毎日何気なく確認している株価チャートは、そのようなリアルな背景から形成されている。