米国の消費者の4分の1にとって、「最も堅実な投資商品」は不動産であることが、バンクレート(Bankrate)の「ファイナンシャル・セキュリティー・インデックス(財政的安定指数)」から明らかになった。

次いで普通預金や譲渡性預金といった現金(23%)、金や貴金属(16%)、株(16%)が人気で、債券はわずか5%。

株や債券に比重を置く投資ストラテジストの戦略と、消費者の趣向の差が浮彫になった一方で、ミレニアル世代には「資産分散」という観念が欠落していることなども判明した。

資産1億円以上の富裕層と高学歴者は株、不動産

2008年のリーマンショック翌年から始まった米強気相場。利上げやBrexitの影響で後若干の失速が見られるものの、米史上二番目に長い強気相場の記録を更新中だ。

しかし消費者はいまだリーマンショックのトラウマから脱けきれないようで、数々の不安定要因が市場をおおい始めた今、安全資産に対する見方に変化が表れている。

財政的安定指数は、「今後10年間使う予定のない現金があった場合、どのように投資するか」という質問に対する消費者の回答に基づいて、約1000人の米消費者を対象に毎月実施されている。

過去の財政的安定指数のデータから一例を挙げると、2013年7月には現金(26%)が最も堅実とされており、不動産(23%)が続いた。株は14%、債券は8%だった。

同月の調査から100万ドル(約1億611万円)以上の資産を所有する富裕層は、現金よりも不動産や株を好む傾向が強いことが判明している。高学歴者も株式投資に積極的だ。

対照的に女性は男性よりも、資産を現金で保有することに安心感を得るようだ。

「元本保証商品である現金はリスクがない」と考える消費者も多いが、低金利などで増やす要素が少ないこと意外に、保有している通貨の価値が極端にさがってしまうといった大きなリスクもともなう。

それゆえに資産分散の重要性が際立ち、「形に残る投資商品」として不動産を選ぶ米国人が増えたものと推測される。