筆者は2001年に初めて株式投資を行い、同じ年に商品先物取引を開始した。投資開始以来、1年半の間は負け続け、大きく資金を失ったのち、勝てる投資家へ変わった。

2004年からはその経験を活かすべく、1万人を超える投資家に投資を教えてきた。15年間の投資経験と、投資を教えてきた経験の中で、個人投資家がなぜ株式投資で勝てないのか、その理由をまざまざと見続けてきた。それは15年前も今も、全く変わらず繰り返されている。

つまり、多くの個人投資家には、その理由が目に見えていない。ここでは、個人投資家が株式投資で勝てない目に見えない理由を解説する。

1. 圧倒的に知識が足りない

個人投資家には、株式市場や株式投資に対する知識が圧倒的にたりない。個人投資家は株式市場に対しても、株式投資に対しても、そして自分自身を振り返るという意味でも、知識が足りな過ぎる。ある一定期間の投資の後に、もし資金が減っているとすれば、その結果こそが知識の欠如を表すものと捉え、とにかくまずは勉強をすることが必要だ。

2. 資金管理能力が欠落している

個人投資家は、「資金管理が大切だ」ということを言葉で理解するものの、その真の意味を体得することはない。資金管理とは、具体的に言えば、自分自身の資金が減ることに対する、精神的・資金的な準備を行うことだ。技術的な資金管理の方法は、売買株数のコントロールと損切り、そして利食いだ。しかし、一般の個人投資家は、その3つの全てに具体的な技術と理論的な裏付けを持っていない。つまり、投資において最も大切な資金管理能力が、個人投資家には欠落している。厳しい言い方になるが、これでは文字通り、一生勝てない。

3. 自分自身の投資戦略がない

株式投資に勝つための方法は、決して1つではなく、無数に存在する。勝つための方法が無数に存在するとすれば、あなた自身が勝つためには、具体的にあなた自身の勝つ方法を決める必要がある。株式投資で勝つ方法を、投資戦略という。投資戦略とは言い換えれば、投資スタイルであり、投資方針であり、勝ちパターンだ。あなたが勝てなかった理由の1つが、これまで投資戦略を1つに決めなかったことなのだ。

4. 戦略を遂行するための道具を持っていない

株式投資において、日々の売買を実践していくためには、行動に即した戦術が必要だ。この戦術こそが売買ルールであり、売買ルールは様々な道具によって構築される。ファンダメンタル分析を行う投資家の道具は、ファンダメンタル指標であり、テクニカル分析を行う投資家の道具は、テクニカル指標である。あなた自身の投資戦略を遂行するための道具を準備しよう。その道具を具体的に準備することこそが、売買ルールを作るということだ。

5. 使っている道具が戦略と合っていない

ほとんどの投資家は、各種のファンダメンタル指標やテクニカル指標を使っている。しかし、結果は多くの投資家が負ける。この理由は、投資戦略と使っている道具が合っていないことに起因している。つまり、道具が悪いか、道具の使い方が悪いか、もしくは両方かだ。その道具を使っても望む結果を得られないとしたら、どこかに問題があることに気づかなければならない。各種の指標は、適切に使えば、そのほとんどで利益を上げることができる。「○○は使えない」と言う前に、あなた自身の使い方と、戦略が合っているかどうかをしっかり確認して欲しい。