さまざまな分野で活躍する「デキる女性」たちに、投資の失敗談をお聞きするインタビューシリーズ、第3弾は、マクロエコノミストの崔真淑(さい ますみ)さんをお訪ねしています。

崔さんは大学卒業後に証券会社へ入社し、当時最年少の女性アナリストとして、NHKなどの主要メディアで経済解説者に抜擢された経歴の持ち主。現在は独立して日経CNBC 経済解説委員、昭和女子大現代ビジネス研究所 研究員、エイボン・プロダクツの社外取締役など、いくつもの肩書きを持って活躍されています。

一見、投資について百戦錬磨のように思える崔さんですが、過去にはかなりの失敗をご経験されているのだとか。一体、どんな失敗を!? と興味津々でさっそく、お話をお伺いしました。

小さい時から「投資」「商売」が身近に

――崔さんのご実家は焼肉屋さんを営んでいるとのことですが、ご両親は投資などされていたのでしょうか?

両親だけでなく、おじやおば、親戚なども自営業で商売をやっているような環境だったので、小さい頃から、投資の話は当たり前のようにしていましたね。私の両親も以前は株式投資をやっていたのですが、バブルで痛手を負ったこともあり、娘の私には「株はやっちゃダメよ!」と言っていました。

――親戚の方も投資をなさっていたんですか?

はい、やっていました。投資だけではなくて、ここの証券会社がいいとか。この不動産がいい、これからはこの商売がいいとかいう話を、親戚が集まるたびにしていました。親戚は、清掃管理、床屋、ガソリンスタンド、ビルの賃貸などの仕事をしていました。

――親戚一同が商売をしているというのは、すごい環境ですね!

そうですね、投資だけではなく、例えば従業員へどう対応すればいいかという「人との付き合い方」の部分や、安く買って高く売るという商売の基本など、いろいろと話を聞いて参考になりました。小学生の頃から実家のお手伝いもしていて、親の働く姿を見ていました。親としては、「私の学費や食べる物のためのお金はどう稼ぐのか、そのお金がどこから来ているのか」を見せたかったのだと思います。

――なるほど!

「そういうことを意識させないと、無駄遣いをしてしまう」という考えがあったんだと思います。まあ実際には、無駄遣いもバンバンしていたんですけどね(笑)。

――(笑)。小さい頃から「将来は投資やりたいな」という想いはあったんですか?

親戚で集まって話していると、親は失敗もしているから「やるな」って言うんですけど、親戚はいいかっこしたいからいい話、儲かった話しかしないんですよ(笑)。で、それを真に受けて「そんなに稼げんの!?」って。「株はやっちゃダメ!」って母は言うけれど、おじやおばは「儲かった!」とか言うから、10代、20代でそういう話を聞くと、何も知らないからウズウズしてくるんですよね。

人から失敗談を聞いても、「私だけは失敗しない!」とか思うのが、今思えば10代~20代の甘さですよね(笑)。

(写真=森口新太郎撮影)