つみたてNISAにはメリットもあるが、当然デメリットもある。例えば、投資できる銘柄が限られている点はデメリットの一つだ。しかし、投資初心者の方にとっては、たくさんある銘柄から選ぶよりも限られた銘柄から自分に合ったものを見つけるほうが楽であり、つみたてNISAのいわゆるデメリットは、見方を変えるとメリットになる。一般的にいわれているデメリットも把握することで、つみたてNISAを賢く活用しよう。

一般的なつみたてNISAのデメリット

一般にいわれているデメリットには以下のようなものがある。

デメリット1:投資先の選択肢が少なく個別株に投資できない

つみたてNISAの対象となる商品は、投資信託に限られ、それも2018年7月20日時点で155本(※3本はETF)しかなく、個別の会社の株を買うことはできない。自分で自由に投資対象を選びたい投資経験者には、不向きな制度といえる。

デメリット2:年間の投資金額が少ない

つみたてNISAは、新規投資額で毎年40万円までしか利用できない。また投資可能期間が20年のため、最大でも800万円までしか利用できない制度である。

デメリット3:商品のスイッチング(乗換え売買)ができない

スイッチング(乗換え売買)とは、保有している金融商品を売却して得たお金で別の金融商品を購入することを指す。つみたてNISAには、後述する「非課税投資枠の再利用ができない」というルールがある。そのため、スイッチング(乗換え売買)をする場合は、その年の非課税投資枠を新たに利用する必要がある。

デメリット4:非課税投資枠の再利用ができない

つみたてNISAには非課税投資枠が毎年40万円分あるが、この枠は再利用ができず使い切りである。仮に今年使い切れなかったとしても、来年以降に持ち越すこともできないため、注意が必要だ。

デメリット5:他の証券口座と損益を相殺できない

つみたてNISAを利用する場合は、専用の「NISA口座」を開設する必要がある。このNISA口座と他の口座(一般口座や特定口座)との間で、利益と損失を相殺すること(損益通算)ができない点に注意が必要だ。証券口座を複数持っていてNISA口座以外では利益が出て、NISA口座では損が出た場合、NISA口座以外で得た利益に対して課税される。NISA口座で損した分を課税対象額から差し引くことができないため、多くの税金を払うことになる。

また、通常の口座ならば、損益通算しても控除しきれない損失の金額について翌年以後3年間は確定申告で控除を受けられるが、NISA口座ではできない。

つみたてNISAのメリット

これまでデメリットを紹介してきたが、そのデメリットは人によってはメリットとなる。これまでに紹介したデメリットが持つメリットとしての側面をそれぞれ紹介していこう。

メリット1:投資先の選択肢が少なく個別株に投資できないので初心者の方も投資しやすい

初心者の方にとっては、選択肢が限られていたほうが銘柄を選びやすい。また個別株と投資信託で比べると、基本的には個別株のほうが値動きが激しく、ハイリスク・ハイリターンといえる。一方投資信託は、ファンドマネージャー等専門家がリスク・リターンを考慮し運用しているものであり、初心者の方でも投資しやすい対象だ。