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2020/10/17

『ANA Financial Journal』より

東京エレクトロン株から製造業マーケットを予測する

(画像=Getty Images)
(画像=Getty Images)

半導体製造装置メーカーである東京エレクトロン(8035)の株価が6月中旬以降堅調です。

(画像=日本経済新聞社website)


東京エレクトロンは世界第3位の半導体製造装置メーカーです(東洋経済新報社 会社四季報より引用)。

半導体は電気を良く通す金属などの「導体」と、電気をほとんど通さないゴムなどの「絶縁体」との、中間の性質を持つシリコンなどの物質や材料のことです。

半導体を材料に用いたトランジスタや集積回路(多数のトランジスタなどを作り込み配線接続した回路)も、慣用的に”半導体”と呼ばれています。

半導体は情報の記憶、数値計算や論理演算などの知的な情報処理機能を持っており、電子機器や装置の頭脳部分として中心的役割を果たし、現代の人間の生活には欠かせないものと言えるでしょう(一般社団法人 日本半導体製造装置協会websiteより)。

つまり、半導体製造装置が売れるということは、現代の人間の生活に必要なモノの生産活動が活発であることを示していると言え、製造業企業が多い日本株投資にとっては近未来のマーケットを左右するファクターです。

となると、その装置の販売動向を知りたくなります。

その目的にふさわしいと思われるウェブサイトがあります。

「一般社団法人 日本半導体製造装置協会」(以下:半導体製造装置協会)が公表している統計資料です

参考:一般社団法人 日本半導体製造装置協会「統計資料」

半導体製造装置協会は、1985年(昭和60年)3月に大手半導体製造装置メーカーが発起人となって設立された、半導体及びフラットパネルディスプレイ(FPD)製造装置関連企業を主な会員とする全国的な団体です。

同協会は日本製の半導体製造装置の販売高の月次3ヶ月移動平均値を公表しています。

1ヶ月毎だとブレが大きいので、3ヶ月で業界動向を把握しようという目的でしょうか。

この販売高3ヶ月移動平均の前年比を2015年1月からグラフにしてみました。

昨年夏ぐらいを底に、上向き傾向が続いています。

2019年の前半が右肩下がりであったため、比較の対象が低くかったことも上向き推移の原因の一つでしょう。

(画像=一般社団法人 日本半導体製造装置協会 統計資料)


上のグラフに東京エレクトロンの月次株価をプロットした結果が以下です。

(画像=一般社団法人 日本半導体製造装置協会 統計資料)


2018年以降、株価が販売高3ヶ月移動平均にやや先行した動きになっているように筆者には見えます。

試しに、3ヶ月移動平均の月次変化と東京エレクトロンの月次株価リターンの相関係数を算出したところ、2015年1月~2020年6月では+0.08、2018年1月~2020年6月では+0.25、2019年1月~2020年6月では+0.27と近年の相関が高くなっていることがわかります。

前述したように東京エレクトロンは世界第3位の半導体製造装置メーカーです。

装置全体の販売高に占める金額が大きいでしょうから、東京エレクトロンの業績の変化が半導体製造装置協会集計している販売額を左右しがちでしょうし、その結果株価との相関が高くなるのでしょう。

東京エレクトロンの株価に関しては、もう1点考慮すべき要素があるように思います。

半導体製造装置事業を持っていた日立ハイテクが日立製作所(6501)による公開買い付けを行い、結果として日立製作所による完全子会社化が実施される見込みに伴い、すでに上場が廃止されています。

日立ハイテクはそれなりの時価総額規模を持つ半導体製造装置事業を持つ企業でしたが、その日立ハイテクに「投資」することができなくなってしまい、事実上「半導体製造装置を扱う日本株に投資すること=東京エレクトロン株を買う」という構造になったことも株価に寄与しているのではと想像します。

同業界における分散投資が難しくなったことで、東京エレクトロンの株価は業界の景気を濃く反映するものになるように思いますし、それがさまざまなモノに使われていることを考慮すると製造業全体の景気の先行指数とも言えそうです。

今月に入ってからやや息切れしたような印象を受ける同社の株価の推移からすると、製造業の株価はしばらく調整局面に入るかなと個人的には予測しています。

この予測が当たるかどうか確かめるために、今後も毎月公表される半導体製造装置の販売高の月次3ヶ月移動平均値に着目していきたいと思います。

提供・ANA Financial Journal


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