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2020/07/22

富裕層の強い味方!「プライベートバンカーとは何者なのか?」を徹底解説

「プライベートバンカー」は、海外では歴史の長いサービスとして受け入れられています。しかしながら日本での知名度はまだまだ低く、具体的にどのようなサービスが行われているのか分からないという人も多いのではないでしょうか。この記事では、プライベートバンカーが持つスキルや、顧客対象、具体的なサービス内容について解説していきます。

プライベートバンカーの定義とは?

プライベートバンカーとは、純金融資産1億円超の富裕層・超富裕層の資産管理を行うスペシャリストのことです。契約者に対して長期の資産運用サポートを行う職業ですが、相談内容は事業再構築や事業承継の時期、グローバル化への対応、老後のライフプランまでと多岐にわたります。

ひと口に富裕層といっても、相続による資産家、医師、弁護士などの専門職の成功者、ITなど新興ビジネスで成功した起業家、企業役員など、その資産のタイプはさまざまです。プライベートバンカーは、その一人ひとりに対して要望を慎重にヒアリングし、豊富な金融知識に加え、法律や税制を考慮に入れたオーダーメイドの資産管理を提案してくれる頼もしい存在なのです。

多くのプライベートバンキングは最低預け入れ金を1億円以上としており、サービスにかかる手数料も通常の銀行などに比べて割高になります。その分ひとりのプライベートバンカーが担当する顧客の数は少なく、相談に対して長い時間をかけて、丁寧に解決策を見出してくれるのです。

また資産運用のほかにも相続や事業展開などの富裕層の悩みをはじめ、金融サービス以外のさまざまな相談にも応じてくれることもあります。資産を複数口座ではなく、ひとつの口座で一括管理できるのも、経営などで忙しい富裕層にとってはメリットといえます。

近年では5,000万円以上のマス富裕層もプライベートバンカーの対象顧客となりつつあり、今後は、日本でもより身近な存在になっていくと考えられます。

日本証券アナリスト協会による資格について

2013年より公益社団法人日本証券アナリスト協会はプライベートバンカーの資格試験を実施し、資格ランクには3つの段階が設定されています。

初級編である「PB(プライベートバンク)コーディネーター」は、金融機関の窓口や外勤の担当者が対象です。顧客のニーズを理解し、適切な関係部署と連携するなどを目標としています。

中級の「プライマリーPB」は、プライベートバンク業務に従事するスタッフなどを対象としています。顧客のニーズに合わせ、比較的複雑かつ広範囲な要求にも対応できる能力の習得を目指します。

そして上級レベルの「シニアPB」は、実務対応力だけでなく応用力を強化した資格です。豊富な知識を基に、顧客が抱える問題に対して具体的な対応策が提示できなければなりません。時には外部のプロフェッショナルとも連携して課題解決に当たるため、コンサルタントやプライベートバンカー業務に従事する人が対象となります。現在、シニアPBの資格を持つのはわずか124名。合格率約20%という狭き門です。

PB資格を取得するための必須領域とは?

プライベートバンカーの必要スキルについて、前述の日本証券アナリスト協会の教育プログラムによれば、以下の7項目が必須とされています。

・PB資格取得の必須領域①リレーションシップ・マネジメント(RM)
プライベートバンカーは、時に顧客自身の人生設計にも大きく関わります。将来の資産運用を考えることは、自身の健康や老後、家族や事業展開など、人生の課題にも向き合うことにつながるからです。

資産額、資産の内訳、今後の目標など、かなり踏み込んだ相談を受けるプライベートバンカーは、コンサルタントでありながら、顧客にとってはカウンセラーのような役割をも果たします。

プライベートバンカーにとって顧客との強い信頼関係を構築し、対話の中から顧客自身も気づいていないニーズを的確にすくい上げるリスキルは必要不可欠であり、リレーションシップ・マネジメントは業務すべての基本といえます。

・PB資格取得の必須領域②ウェルスマネジメント(WM)
顧客が求める目標を実現するための戦略立案と実行のプロセスを指します。資産のタイプやライフプランに合わせたポートフォリオを設計し、プランの実行や見直しなどを行うことがこれに当たります。事業承継のタイミング決定や、リタイア後の資産計画なども含めた長期的な計画を立てていくことが求められます。

・PB資格取得の必須領域③不動産
日本において不動産は、金融資産と並んで重要な資産です。富裕層にとって代々受け継がれてきた土地や資産運用のための不動産は、資産としての価値は高いものの、管理が複雑な場合も多々あります。

プライベートバンカーは不動産の基本的な性格や取引における留意点、関連する税制や法令、評価などの要点を学び、不動産投資のメリット、デメリットといった特性にも精通していることが重要なのです。

・PB資格取得の必須領域④税金
富裕層にとって、相続税、贈与税をはじめとした資産の課税対策は不可欠です。税務アドバイスは税理士の専門分野ではあるものの、相続対策、事業承継、金融商品に関する税務などの基本的な知識はプライベートバンカーの必須知識といえます。

・PB資格取得の必須領域⑤信託・エステートプランニング
富裕層の多額多様な資産を安定的に運用し、次世代に承継していくための計画を「エステートプランニング」と呼びます。信託の活用とともに、資産の明細に基づいて承継や配分方法、法人を設立するか否かなどの計画を立てていきます。

・PB資格取得の必須領域⑥マス富裕層
富裕層に準じるマス富裕層(金融資産5,000万~1億円未満)は全国に存在しており、プライベートバンカーのサポート次第で大きく成長する可能性を秘めています。資産形成期であるマス富裕層にとって、資産は「保全」だけでなく、リスクマネジメントの面が重要になるなど、富裕層とは違ったアプローチが必要になります。

・PB資格取得の必須領域⑦職業倫理
そして最後の7つ目は「職業倫理」。顧客からの全面的な信頼を得るプライベートバンカーにとって、業務を超えて顧客のために最善を尽くすことが求められます。これがプライベートバンカーの職業倫理の考え方であり、それは日本証券アナリスト協会の職業行為基準において明文化されています。

これに反する行為をした場合、プライベートバンカーはサービス停止、登録抹消となることもあります。また業務の際には関係法令はもちろん、各種のルール・規制を遵守することが当然ながら含まれます。

資格とは別の「プライベートバンカー」という存在

ここまで資格としてのプライベートバンカーについて述べてきましたが、プライベートバンクの窓口担当者を「プライベートバンカー」と呼ぶ場合もあります。とはいえ、プライベートバンクの役割はPB資格の内容とほぼ同じです。

一般銀行の資産運用に関するアドバイスが金融商品の紹介などの「プッシュ型」営業なのに対し、プライベートバンクは顧客のニーズに応える「プル型」の営業を目指しています。顧客が最終的にどのような資産形成を希望とするのかをヒアリングし、ポートフォリオを作成して運用していくのです。

プライベートバンカーの顧客になる富裕層とは

プライベートバンカーのメイン顧客である富裕層は、金融資産1億円以上、機関によっては数億円を超える場合もあります。多くの顧客はすでに資産を形成しているため、運用は「安全・確実」にしていきたいというニーズが高まってきています。

つまり、ハイリスク・ハイリターンな投資より長期的に運用して確実に増やすことが求められており、長く資産を保全していくことこそがプライベートバンカーの腕の見せ所なのです。

また新たにプライベートバンカーの顧客となりつつあるマス富裕層は、資産保全の前段階である「資産形成期」にある場合が多いため、より計画的に貯蓄のプランや相続税対策のコンサルティングやコーチングを受けていくことがポイントとなります。

国内外のプライベートバンクが営業をかけるのは資産1億円以上が必須

前述の通り、プライベートバンクのサービス対象となるのは、基本的に金融資産1億円以上の資産家です。プライベートバンカーたちはこれらの資産家を顧客候補として、アプローチをかけていくのです。

2019年のレポートでは、富裕層は国内で300万人に到達

世界有数の金融機関であるクレディ・スイスによる2019年のレポートによると、日本のミリオネア層は300万人。過去12ヵ月間で約7%増加し、米国・中国に次いで第3位となっています。

リーマンショック以降、減少傾向にあった富裕層世帯数ですが、2013年以降は金融政策による株価の上昇を受けて増加。上場企業の役員報酬増額も、富裕層世帯の増加に影響していると考えられます。

プライベートバンカーはどこに勤めているのか

実際にプライベートバンカーに相談したいと考えた場合、大きく分けて海外のプライベートバンク、国内のプライベートバンキングサービスという2つの選択肢があります。どちらも「オーダーメイドの資産運用(金融商品の提案)」を提案してくれるという点では共通していますが、国や金融機関の性格によっても、そのレベルや提案内容はさまざまです。

スイスなどを中心とした海外のプライベートバンク

ヨーロッパにおけるプライベートバンクの歴史は古く、とりわけスイスでは1750年設立のラン・アンド・ボドマー(Rahn & Bodmer Co.)を始め、伝統的な機関が多く存在しています。そのほかにもオーストラリア、アメリカ、香港、ドバイ、シンガポールなどの金融に強い国で発達する傾向にあります。

海外のプライベートバンクを利用するメリットには、まず日本に地域的な問題(自然災害・国内紛争など)があった場合にリスク分散ができる点が挙げられます。

プライベ―トバンクは各国ごとにさまざまな特徴があります。スイスを始めとしたヨーロッパのサービスは、伝統に裏付けされた信頼性も高く、子供や孫世代への長期にわたって良きサービスを提供してくれる機関も少なくありません。

またアメリカは、全世界で唯一顧客情報の交換を行わない国です。守秘性を重視するなら、そのメリットは抜きんでているといえるでしょう。それ以外の地域では、シンガポールがサービスの内容の高さから、中国や日本の富裕層向けの拠点として伸びています。

グローバルな金融商品があり、高い運用ノウハウを持つことが海外プライベートバンク利用の大きな魅力です。しかし日本は税務や法務も頻繁に変わって複雑です。そのため節税対策や相続対策という点において、海外のプライベートバンクはあまり得意ではないという面もあります。

メガバンクなど国内の金融機関のプライベートバンク部門

日本でも富裕層ビジネスの拡大に合わせ、メガバンクや証券会社、信託銀行、地方金融機関などでプライベートバンク部門の開設が相次いでいます。国内のサービスを選択するメリットは、やはり税制など日本特有の複雑なルールに対応していることです。

窓口で気軽に相談しやすいことも、国内サービスの利点です。しかしプライベートバンクのような投資のトータルサービスは日本ではまだ歴史が浅いということもあり、従来の銀行のような「金融商品の販売」がメインとなるプッシュ型営業になっている場合も少なくありません。

また日本企業の慣習として、担当者が異動などによって数年単位で変わってしまうという課題があります。本来プライベートバンクは長期間にわたって資産保全をすることが大切ですから、本質的な部分で役割を果たせないのではという疑問も発生してきます。

海外・国内どちらのサービスを選ぶにせよ、メリット・デメリットがあります。そのプライベートバンクのビジネスモデルがどうなっているのか、自分の資産運用のスタイルや希望にあった相談ができるのかどうか、事前に調べておくことが必要です。
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